伊ブランド「アニオナ(AGNONA)」は、2020-21年秋冬コレクションから20年ぶりにメンズを復活させる。2月にミラノで開催されるウィメンズ・コレクションのショーで披露する。
15年から同ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めているサイモン・ホロウェイ(Simon Holloway)は、「『アニオナ』は長年メンズを手掛けており、1980~90年代には大人気だったが、2000年に生産を中止してしまった。しかし当時のコレクションを見ると、上質なジャージー素材を仕立てたウエアやニット、アウターなどの品ぞろえで非常にモダンだ。現在のメンズ市場には、そうしたエフォートレスでリラックス感のある、時代に左右されないラグジュアリーウエアの需要があると考えた」と復活の意図を語った。同氏はまた、「メンズは伝統的なスーツや前衛的な作品であれば素晴らしいものがたくさんあるが、カジュアルな服はストリートブランドが多く、ラグジュアリーなものはあまりない。スニーカーやローファー、ブーツと合わせても違和感がなく、それでいてきちんと上質なものを着ていると感じられる服を作りたいと思った」と説明した。
「アニオナ」は最高品質の素材使いで知られているが、メンズも再生カシミヤや高級ウールなどのラグジュアリーな素材で、ダッフルコートなどのアウター、ダブルフェースのブレザー、ジャケット、シャツ、ニットウエアなど50アイテム程度を展開する。色味はブルーやグレー、ビクーニャ(ベージュ系)などの落ち着いたものだ。価格は発表されていないが、ウィメンズではカシミヤのコートが3350~6970ユーロ(約40万~85万円)、ジャケットが1580~2930ユーロ(約19万~35万円)、カシミヤのセーターが1880~2980ユーロ(約23万~36万円)、パンツが420~1280ユーロ(約5万~15万円)となっている。
アレッサンドラ・カッラ(Alessandra Carra)最高経営責任者(CEO)は、「『アニオナ』の歴史の中でメンズは大きな位置を占めており、ブランドのDNAに組み込まれている。上質な素材とモダンなデザインによって『アニオナ』ならではのメンズウエアを発表し、5年以内には売上高の35%を占めるまでに成長させたい」と述べた。なお、メンズは世界中の直営店で販売するが、卸先は30程度に限定するという。
エルメネジルド ゼニア グループ(ERMENEGILDO ZEGNA GROUP)の一員である「アニオナ」は単体での決算を発表していないが、ここ数年は米国での売り上げが倍増しているとカッラCEO。ほかにはロシアと日本を主要な市場と位置付けており、19年には韓国にも出店した。しかし、一大市場である中国にはまだ進出していない。同氏は、「中国への進出が次のステップだ。それに先立ち、事業をしっかりと固めるべきだと考えた」と語った。