百貨店主要5社の1月度の売上速報が出そろった。各社とも、中国の大型連休である春節(旧正月)の恩恵を受けて免税売上高が上向いた。ただこれは、前年は2月上旬(4~10日)だった春節が、今年は1月下旬(24~30日)だったことによるもの。春節期間の免税売上高を19年と比較すると、大きく落ち込んでいる。新型肺炎による団体ツアー客の渡航規制が、春節商戦の大きな打撃となったことが分かる。
百貨店別の1月度売上高は、三越伊勢丹が前年同月比3.5%減、高島屋が同2.7%減、大丸松坂屋百貨店が同5.5%減(大丸心斎橋店を除く)、そごう・西武が同3.6%減、阪急阪神百貨店が同1.8%減。暖冬によるセール不振も追い打ちを掛け、各社の売上高(既存店ベース)は、4カ月連続の全社減収となった。
免税売上高は、心斎橋本店がけん引する大丸松坂屋が同29%増、高島屋は同11.1%増、阪急阪神百貨店が同1割増。三越伊勢丹は基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の免税売上高が同約2割増だった。ただ、19年との春節期間対比では、高島屋は14.7%減、そごう・西武が15%減。阪急阪神百貨店が1割減と落ち込みは鮮明になる。「日を追うごとに(新型肺炎の)影響が色濃くなっている」「本格的なダメージは2月になる」と各社は今後を不安視する。
暖冬により衣料品のクリアランスセールも不振だった。高島屋の婦人服は、ニットやセーター、コートなどの防寒衣料が動かず前年同月比7%減。三越伊勢丹も同6.7%減。化粧品も低迷が続いている。そごう・西武は、化粧品の売上高が同5%減で、メイクアップ商品が不振だった。「売り場からは、美容部員によるタッチアップを嫌がるお客さまもいると聞く。接触などに不安もあるのでは」(そごう・西武広報)と分析する。