ロレアル(L’OREAL)の2019年12月期通期決算は、売上高が前期比10.9%増(為替変動調整後の実質では8%増)の298億7000万ユーロ(約3兆5835億円)、営業利益は同12.7%増の55億4000万ユーロ(約6646億円)と増収だった。しかし純利益は特別損失を計上したことにより同3.7%減の37億5000万ユーロ(約4498億円)だった。
部門別では、百貨店向け高級化粧品のリュクス事業部で「ランコム(LANCOME)」「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI BEAUTY)」「キールズ(KIEHL’S SINCE 1851)」が2ケタの伸びとなり、売上高で同17.6%増の110億1980万ユーロ(約1兆3220万円)を記録。敏感肌用などのアクティブコスメティックス事業部は「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」が好調に推移し、売上高で同17.1%増の26億6370万ユーロ(約3195億円)と過去最高の業績を達成した。マス向け化粧品のコンシューマープロダクツ事業部は「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」がけん引し、売上高で同6.0%増の127億4820万ユーロ(約1兆5294億円)、サロン向け化粧品のプロフェッショナル事業部は「ケラスターゼ(KERASTASE)」が2ケタ増で成長し、売上高で同5.5%増の34億4190万ユーロ(約4129億円)と全部門で増収となった。
地域別では、成長を続けるアジア太平洋、中南米、東欧、中東、アフリカを含む新興市場が売上高で同20.5%増の140億2950万ユーロ(約1兆6831億円)と拡大した。中でもアジア太平洋は同30.4%増の96億5800万ユーロ(約1兆1586億円)と同グループ最大の市場となった。そのほか西欧が同2.6%増の82億7710万ユーロ(約9930億円)、北米はメイクアップの不振により成長が鈍化し、同4.6%増の75億6700万ユーロ(約9078億円)だった。
またeコマースとトラベルリテール事業も全体の好調に寄与した。eコマースの売り上げは同52.4%増と大きな伸びを示し、売り上げ構成比は15.6%に達している。トラベルリテールも同25.3%増と引き続き拡大している。
ジャン・ポール・アゴン(Jean-Paul Agon)=ロレアル会長兼最高経営責任者は、「中国市場の伸びが著しいが、韓国、インド、インドネシア、マレーシアも順調に伸びている」と述べた。また新型コロナウイルスの影響について「中国におけるビジネスやアジアにおけるトラベルリテール事業への影響は一時的なもので、現時点で評価するのは時期尚早」として今年度の増収増益に対しても自信を見せた。