仕事やプライベートな場面で「今オススメの化粧品」を聞かれることがある。流行のリップだったりシワ対策美容液だったり、内容はさまざまだけど、年代に関係なく(10代から70代まで)最も頻繁に聞かれることは何かというと……? 「オススメのファンデーションは何?」という質問だ。特に30代半ば以降、人と接する機会も多い働く女性たちは、ベースメイクに対して真剣度が高いように思う。
2020年春、この質問をされたら、回答はもう決まっている。「新しいファンデーションを1品購入するより、まずは『下地』を取り入れてみては?」と。
今シーズンも続々ベースアイテムが登場する中で、質感や機能の進化に驚かされるのが「下地」のカテゴリーだ。個人的に注目しているのが、薄化粧効果のある「トーンアップ下地」である。近年トーンアップ下地は若い世代を中心にすでに広く浸透中。これまでの流行色はラベンダー色だった。肌の透明感を高め、まるで「スマホの美肌アプリ」で修正したような肌が手に入ることが、若い世代に支持された理由でもある。では、30代以降の大人の女性が選ぶとしたら、どのような下地が良いのだろう?
ピンク下地が自然な血色感で大人特有のくすみ解消
同じトーンアップ下地でも、大人の女性に推奨したいのは、断然「ピンク色」。肌の均一感を高め、明るく整える効果に加え、自然な血色感を添え大人特有のくすみ解消が期待できる。もうひとつ、大人の女性がトーンアップ下地を使う利点は、ファンデーションの使用量が少なくて済むことだ。下地で肌の均一感を高めておくことで、ファンデーションは頬や目の下など色ムラが気になる部分のみに使えば良い。こうすると仕上がりの化粧膜が薄くなり、結果として崩れにくくなる。ファンデーション1品で色ムラを隠そうとすると、どうしても厚塗りの、のっぺりした印象になりがちだ。
上記のような理由で、大人の女性にこそオススメしたい「トーンアップ下地」。折しも2020年春は、大人の肌に最適なピンク色の「当たり年」でもある。紫外線防止効果に優れたUVケアから、肌に自然な艶感を添えるハイライト。スキンケア効果を備えたプライマーまで、価格帯も含めて幅広いアイテムが充実している。実際試したなかで、以下にオススメの5品をご紹介したい。
大人肌の救世主、ピンクのベースアイテム5選
スキンケアと共通のローズ由来成分配合「ディオール」
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スキンケア効果と素肌っぽい仕上がりの美しさを両立するなら、「ディオール(DIOR)」の「プレステージ ホワイト ル プロテクター UV シアーグロー」をぜひ。あらゆる可視光線から肌を守り、スキンケアシリーズと共通のローズ由来成分が、肌本来の抗酸化力をサポート。環境ダメージに立ち向かい、ほんのりツヤを宿した明るい質感へと導いてくれる。
低刺激で保湿作用に優れた「ラロッシュポゼ」
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これから春先にかけて、肌が不安定に揺らぎやすいシーズンに、味方につけるべきは「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」の「UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ」。低刺激かつ保湿作用に優れ、塗布した感触はまるでスキンケアクリームのよう。敏感な肌にそっと寄り添い、ナチュラルなローズカラーで、均一感と血色感を高める効果が期待できる。
元の肌がパッと明るくなる「エレガンス」
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まるで元々の肌がパッと明るく、均一であるかのような「メイク効果」で選ぶなら「エレガンス(ELEGANCE)」の「モデリング カラーアップ ベース UV PK110」をぜひ。25年も前から肌色補正効果に注目したコントロールカラーシリーズで、最新作のPK110は透明感と血色感のバランスが絶妙! 大人の肌にクリアな質感を呼び覚ましてくれるだろう。
機能性とコスパ重視の「アリィー」
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機能性やコストパフォーマンスを重視したい方には、ドラッグストアで手に入る「アリィー(ALLIE)」の「ニュアンスチェンジUV ジェル RS」がオススメだ。紫外線防止効果に加え、こすっても落ちにくいなど機能性に優れたUVケア。この春仲間に加わったRSは、どんな肌トーンとも相性が良いナチュラルピンク。ピンク下地の入門編としても活躍させたい。
湯上りのような血色感を再現する「シャネル」
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人肌特有のほのかな艶感、湯上がりのような血色感を再現したいなら、「シャネル(CHANEL)」のハイライター「ル ブラン ロージー ドロップス」に注目を。水分を豊富に含んだみずみずしいテクスチャーと上品なパール感が秀逸だ。頬の高い位置にぼかしたり、手持ちのファンデーションにブレンドしてなじませると、ツヤが息づく自然な肌が手に入る。
上記はほんの一部で、ラグジュアリーブランドから手頃な価格帯の多機能UVケアまで、まさにこの春は「ピンクのベースアイテムの当たり年」。なりたい肌やライフスタイルに合わせ、最適なものを見つけやすいシーズンでもある。
ごく身近な狭い範囲の経験ではあるが、これまで同世代(40代)の友人に「トーンアップ下地」をすすめてみると、あまり反応が良くない(「下地ではなく、ファンデーションを知りたいんだけど」的な)傾向があった。しかし、艶感や血色感が低下しがちな肌にこそ、本来は絶大な威力を発揮するピンクのベースメイク。今シーズンの個人的「推し」であり、大人の女性こそぜひ試して頂けたらと思う。
宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける