ウィゴーは、「ネオ渋谷系チャラ男漫才」で人気のお笑いコンビ、EXIT(りんたろー。&兼近大樹)がプロデューサーを務める新ブランド「イグジー(EXIEEE)」を2020年春夏からスタートした。18日に都内で記者会見を開き、ECでの販売を開始した。
記者会見ではファッションショーを披露。「渋谷系」を自称する2人らしく、グラフィックプリントやレタリング、迷彩柄やバッファローチェックなどストリートテイストを前面に打ち出した。ギャル・ギャル男だけでなく、ティーンモデルやお年寄りモデルもステージに登場。“業界初のアンチエイジングブランド”をコンセプトに、全年代から愛されるブランドを目指す。ジャケット8000円前後、Tシャツ5000円前後、ボトムス4000円前後と比較的安価だが、「意外としっかりしている」(兼近)と自信を見せる。2サイズ展開で、Mサイズは女性、Lサイズは男性の着用に対応する。
ファッションブランドへの情熱は「幼いころからの夢」(りんたろー。)「全く興味ないっす」(兼近)とまちまちだが、見据える先は「世界進出」で一致。「ファッション業界の常識をぶっ壊すブランドにする」と2人が意気込む「イグジー」で思い描く未来を聞いた。
WWD:記者会見を終えた感想は?
兼近大樹(以下、兼近):信じられないくらいの数のマスコミの方がいらっしゃって、正直ビビりました。
りんたろー。:チャラチャラしてたけど、今は真剣にやらないとまずいなと反省しています。
WWD:なぜファッションブランドを立ち上げた?
りんたろー。:もともとファッションプロデューサーになるのは夢だったんです。幼い頃にパリコレを見て、ブランドを立ち上げようとずっと思ってきました。そのためにお笑い芸人になったし、それが結果的に夢への近道でしたね。
兼近:え、そうだったの?
WWD:好きなパリコレブランドは?
りんたろー。:ショーは流し見してるだけなので、思い浮かびません。
兼近:「ゴディバ(GODIVA)」。僕はファンの方からいただいた服しか着ない「アバター」(着せかえ人形)なので、ブランドにはこだわらない。
WWD:お笑い芸人になることがブランドプロデューサーへの近道だったというが、つまりどういうこと?
りんたろー。:服の勉強をしてブランドを立ち上げるのって難しそうだし、それが売れるまではもっと険しい道じゃないですか。だったらお笑い芸人で有名になってから、ファッションで仕掛ければ楽なんじゃないかと。お笑いは売れるの簡単なんですよ。ブランドは、ウチらが芸人でやっているときのスタンスで広めていきます。まずキャッチーなキャラ(デザイン)から入って、そこからじわじわ中身の素晴らしさを知ってもらうっていう具合ですね。
兼近:漫才も、言葉をおしゃれに彩ることだから本質は同じ。ウチらはそういう意味で、そもそもセンスがあったわけです。
WWD:ウィゴーとの協業のきっかけは?
りんたろー。:僕たちのファンはティーンが中心です。彼らに人気でいいものを提供している服屋っていったら、ウィゴーしかないなと。そこで、なんやかんやでお偉い方々と飲み会をセッティングできました。僕らはお笑いの人間だし、しかもチャラチャラしてるし、「君たち芸人だよね?芸を突き詰めるのがいいんじゃないの?」ってやっぱり詰められました。でも、「僕らは日本を盛り上げるためにチャラ男をやっているだけで、お笑い界の次はファッション界に貢献したいんです!」と熱弁したら、お通しが出てくる前に(ブランド立ち上げの)話は決まってましたね。
兼近:ウィゴーは若者の情熱に打たれ弱いからねー。
WWD:「イグジー」はどんな人に着てほしい?
りんたろー。:まずは若者が購買層の中心になると思います。でもゆくゆくは、「ゆりかごから墓場まで」年齢にとらわれず色々な人に着てもらえるブランドになりたいです。
兼近:「イグジー」は、僕たちが着ている衣装と同じテイストを意識しています。僕が今着ているのは迷彩柄のTシャツ。本来は周りに溶け込むためにあるデザインなのに、それにフーディを重ねて意味なくしちゃってます。りんたろー。が着ているTシャツは、「鉄拳」(1990年代の人気格闘ゲーム)のロゴを軽く参考にしてます。こんなチャラい服を皆が着たら、きっと日本は明るくなるはずです。
りんたろー。:たとえば今、この服をおじいちゃんが着たらめっちゃ面白くないですか?でも皆がチャラい服を着るようになれば、誰も笑わない。おれたちのおかげでチャラ男が市民権を得ましたから、次はチャラファッションが当たり前の時代を作りたい。ファッション業界の常識をぶち壊したいですね。
WWD:売り上げも常識破りを目指す?
りんたろー。:いや、激安ブランドなのでどうかな……。
兼近:とりあえずあらゆる人に着てほしいので、信じられないくらい価格を抑えています。でも安物だとバカにされたら「ペラペラじゃねーぞ」って言ってやる。打倒「ファッションセンターしまむら」です。
WWD:服が売れない時代と言われているが、勝算はある?
兼近:えっ!ファッション業界、サゲリシャス(注:「盛り下がっている」の意)なんですか?でも、僕らがそんな状況にメスを入れますよ。そんで、「売り上げ、いと上がりけり」って言ってやります。
りんたろー。:ファッション業界の花形はパリコレでしょうけど、チャラチャラした連中には、トレンドの2周遅れくらいの服がウケるんです。僕らは「イグジー」でそこを狙っていく。てか、パリコレ観ていても正直意味が分からないし(笑)、もう「TGC」(東京ガールズコレクション)に出られたから満足です。
WWD:世界を見据えているというが、どんな青写真を描く?
りんたろー。:僕ら今は「渋谷系」なんてふうに言われていますけど、最近はいろいろな仕事をさせてもらえるようになりました。それで「あっ、日本に留まる器じゃねえんだ」と思い始めました。芸でもファッションでも、新しいトレンドを作って、渋谷から世界へ出ていきたいですね。世界には貧しくて学校のない国もあります。おれたちがそこにクラブを作って、皆に「イグジー」の服を着せて、楽しくしてあげたい。
兼近:いや「世界から渋谷へ」でしょ?渋谷が一番デカい場所なんだから!