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またまたミラノ日記 Vol.1 「グッチ」!「ジル サンダー」!!「モンクレール」!!!初日からメインディッシュ連発でお腹いっぱい!!

 ボンジョルノ~。やって来ました、ミラノ。2020-21年秋冬シーズンは新型コロナウイルスの影響で、日本からの来場者はメディアも、バイヤーも、商社やブランド担当者も少なくてちょっぴり寂しいのが本音ですが、ミラノ・コレクションが始まりました。というワケで今回も、ランウエイに次ぐランウエイ、プレゼンに次ぐプレゼン、イベントに次ぐイベントてんこ盛りなミラノから、日記をしたためたいと思います。

 新型コロナの影響は、決して少なくありません。お話した通り、日本からは「ヴォーグ ジャパン(VOGUE JAPAN)」や「シュプール(SPUR)」「ギンザ(GINZA)」などがエディターの出張を取り止め。百貨店も三越伊勢丹や髙島屋は、バイヤーの派遣を見送り、現地の駐在員に任せています。商社では、伊藤忠商事もミラノ初日の19日以降、出張を見合わせるとの話。ブランドのジャパン社も、出張を見送ったり、最小人数を派遣したりの対応に追われています。アジアンメディアのインタビューリクエストが直前になって却下されるケースも相次いでいます。しかし、いずれの対応も止むなし。私たちだって不安なのだから、イタリア人だって不安に違いありません。でも街やショー会場では、特に差別的な扱いを受けることもなく、初日は無事終了しました。

11:00 ディースクエアード

 あさイチは、とあるブランドのCEOと秘密の会食(笑)。そのあとは、先月のメンズ・コレクション期間中に25周年のアニーバーサリー・ランウエイを開催した「ディースクエアード(DSQUARED2)」の展示会です。

 この日記に記した洋服が、勢ぞろい!!ボリューム満点のフェイクファーに覆われたアウトドアテイストのコート、懐かしきディーン&ダン・ケイティン(Dean & Dan Catin)のイラストスエット、ボヘミアンなフリンジいっぱいアクセサリーなどを撮影です。僕にとってのウィメンズの「ディースクエアード」と言えば、マイクロミニのホットパンツ。ランウエイに登場した“ホッパン”、改めて見ると、短いですねぇ(笑)。

11:45 ブルネロ クチネリ

 お次は、「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」。サステナブルが叫ばれる時代の最新コレクションは、ムダにならない洋服。つまりはいつでも、どこでも、誰でも着られるミニマルなスタイルです。クチネリさんの場合は、もっともエターナル(永続的)かつミニマルな洋服として、メンズのようなジャケットをチョイス。ムダにならない洋服としてのシンプルなジャケットという提案は、さまざまなブランドに広がりそうです。

 ジャケットルックをセンシュアル(官能的)に見せるのは、ガウチョパンツなどで提案する“肌見せ”や、ボウタイブラウス、そしてバッグ&シューズでも複数提案したメタリックカラー。カシミヤで作ったリラックスニットの上下に、将軍のようなミリタリーコートという提案のカッコよさ!「クチネリ」らしさ!豪華なランチをいただきながら、日本からやって来た新聞系メディアの皆さんと情報交換(ウソ、ただのおしゃべり)も楽しみました。

13:40 アーサー アルベッセ

 お次は、「アーサー アルベッセ(ARTHUR ARBESSER)」。心の中で「ごめんなさい!」と思いつつ、「14:15までにショーが始まらなかったら、退場する」と決めた上での会場入りです。その理由は、お次の「グッチ(GUCCI)」が14:40までに会場入りしないと、ドアを閉めてしまうらしいから!!「なんと!!」とも思いますが、一方で「だったら『アーサー アルベッセ』も、すぐにショーを始めるでしょう?」と都合良く考えていたんです。

 予定時刻の20分前に会場入りしたら、「だ、誰もいない……」。しかも、バックステージへの道はガラ空き。スタイリングをまとめたボードが、会場から見える位置に堂々と掲げられています。バックステージには、フツーに入れる(笑)。「『グッチ』に行っちゃうゲストのための、事前開放かしら?」と思いながらバックステージをウロウロして、14:15には絶対に始まらないカンジであることを確信し、本当に「ごめんなさい」ですが会場を後にしました。

14:20 グッチ

 初日に“いきなりメインディッシュ感”満載ですが、「グッチ(GUCCI)」です。

 さぁ、今回も長文にお付き合いください(笑)。今回は「再現することのできない儀式」をキーワードに、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が「魔法のイベント」と話す、ランウエイショーの魅力に迫りました。ということで、まずゲストが通されたのは、バックステージ。「魔法のイベント」を、その舞台裏まで見せてしまおうという舞台設計です。

 通された空間は、本当にバックステージです(笑)。モデルはヘア&メイクの真っ最中だし、ミケーレもフツーに仕上がりをチェックしています。「わ~、楽しい」と思いながらパシャパシャ写真を撮っていると、「今回、フィナーレは一番最後を歩くんです!」と教えてくれた山田大地クンを発見。1月のメンズ・コレクションに続く登場で、“グッチ ボーイ”になる日も近いかもしれません。

 ショーは、バックステージでヘア&メイクを終えたモデルが、次のバックステージ、会場の中央に設けられたフィッティングルームに入場するところから始まりました。スモークが焚かれ、だんだんと中が見えるようになって、フィッティングに大忙しの“現場”がつまびらかになります。モデルが着るのは、“夢いっぱい”な、子どものように天真爛漫でピュアな洋服。このあたりは、「男性らしさ」という既成概念を否定すべく、「男の子なんだから」と言われ続けた幼年時代まで遡ることの価値を説いた1月のメンズ・コレクションに通じます。洋服の多くはパステルカラー、ミニ丈のワンピースを筆頭にシルエットは幼稚園に通うガールズ&ボーイズのよう。キーアクセサリーは、ヘンテコな帽子と十字架のネックレス、それにスクールソックスです。一方、ロングドレスは生地を何重にも重ね、お人形さんのよう。随所にフリルやラッフルを取り入れ、ガーリームードを高めました。ミケーレの幼年時代、70年代のレトロムードが漂います。

 これは別途ロングインタビューをアップしようと思いますが、フィナーレの後、ミケーレは、「ファッションはパワフル。終わることを知らない。特にファッションショーは、マジックだ。数多のプロがモデルを変え、夢の世界に誘う。生まれ変わったモデルは、皆パワフルだ。そして、ゲストを含めて私たちは、同じ場所で、同じ時間を過ごすという極めて親密度の高い状態になる。コレクションが好きか、嫌いかなんて関係ない。とにかく同じ空間で、私たちが一生懸命作ったものを、真剣に見てくれる。この関係性もまた、美しいものだ。でも、ショーはあっという間に終わる。終わらなければならない、儚さも宿している。それもまた、ファッションショーの神秘性を高めているし、終わるから次が始められる。パワフルに循環する、大きなシステム。これがファッションなんだ」と語ります。その言葉は、サステナブルが叫ばれて業界人の多くが既存のファッションシステムに疑問を感じるばかりでなく、その中で生きてきた自分に“後ろめたさ”を抱きかねない今、正直、「ファッションショーなんて古臭い」とか「何度も見ているから」といつの間にか当初の感動を忘れルーティーンとしてしまっている状況に対する、ミケーレのメッセージのように聞こえました。

16:30 アルベルタ フェレッティ

 ミケーレの熱弁に聞き入り、そして、一緒にカンファレンスに参加した皆さんと「良かったねぇ」とか「それにしてもミラノ、あったかいねぇ。地球は大丈夫かな?」なんて話をしていたら、「アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)」に遅刻です(苦笑)。はるか後方で、なんとなく拝見させていただきました。

17:30 ヌメロ ヴェントゥーノ

 「ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)」は、10周年のアニバーサリー・コレクション。序盤は、安全ピンを装飾に用いてチェスターコートやニットでパンクなムード。まだまだイケイケ。攻めの姿勢が続きそうです。端正なチェスターコート、一部をえぐるなどしてレイヤードするためのパーツのように変換したニット、そして、女性はドレスのように着こなすブルーのストライプシャツなど、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell'Acqua)らしさ全開。ゴールドのチェーンや総スパンコールのドレスなど、いつも以上にゴージャスなドレス群で10周年を祝いました。

18:40 ジル サンダー

 「グッチ」で「“メインディッシュ感”満載」と書きましたが、今日はもう2皿、メインディッシュが出てきました(笑)」最初の“もう一品”は、「ジル サンダー(JIL SANDER)」です。

 ルーク&ルーシー・メイヤー(Luke & Lucie Meier)の「ジル サンダー」は、ミニマルというよりピュア、もしくは、ノイズの少ない洋服と言えるでしょう。彼らは、洋服の本質以外を削ぎ落とすというより、それ以外には心惑わされず本質を追い続けるスタンス。ゆえに今どき、インフルエンサーも、彼らへのギフティングも皆無です。

 バリエーションは、徐々に広がっています。当初から続くルークっぽい構築的なジャケットとざっくりニットのスタイルは変わらず、徐々にルーシーを思わせるドレスが加わり、ミニマルからピュアという印象にシフトしている印象です。シルクのフリンジが躍動的に揺れるIラインのノースリーブドレス、反対に肉厚の生地をウエストマークすることで極端な砂時計のシルエットを作ったケープ&スカート、プリーツを刻んだAラインのスカートなど、ピュアでありながら、素材とシルエットのバランスは一気に拡充。渾身の全54ルックです。

 欲を言えば、次はミディ丈のスタイルが見たいかな。飾り立てずにドラマティックなスタイルを描くブランドゆえ、どうしてもロングやマキシ丈になってしまうのは分かるのですが……。後、1つにまとめたツヤツヤヘアに真紅のリップというヘア&メイクも、そろそろバリエーションを見てみたい!!以上、毎回楽しみだからこそ、ついつい欲張ってしまうムラカミのワガママなお願いでした。

19:40 モンクレール ジーニアス

 さぁ、ラストは「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」。会場は、郊外の巨大な箱。この中に、いくつもの小さな箱があって、その中で「ジーニアス」の各ラインが、最新コレクションを独自の方法で発表しています。まるで、ダウンのテーマパーク(笑)。「次は、どこ行く?」みたいなカンジで、10近いブースを順に巡るイメージです。

 もう、ダウンならなんでもあります。藤原ヒロシさんの「7 モンクレール フラングメント ヒロシ・フジワラ」は、今回もポケモン(POKEMON)」とコラボ。ってコトでストリート&アニメがありまして、お隣の空間に行けば「1 モンクレール JW アンダーソン」のジェンダーフリュイド。さらに奥の「3 モンクレール グルノーブル」は純白の高機能ダウンなどなど、本格派からタウンユース、ストリートからモード、ダークからカラフル。そのどれもが楽しくて、優劣なんてつけられない。まさに「ジーニアス」が目指す、多様性とはコレなんだ!と体感できる空間でした。

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