アイスタイルは20日、フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリとの包括業務提携の締結を発表した。両社の顧客IDを連係させるほか、「メルカリ」から流通データの提供を受ける。化粧品メディア「アットコスメ」、小売店「アットコスメストア」、EC「アットコスメ ショッピング」からなるアイスタイルのデータベースにメルカリから取得した二次流通データを組み合わせ、“使いかけコスメ売買”の動きを可視化する。
年間4900億円(2020年6月期第2四半期決算時)の流通がある「メルカリ」だが、10〜30代の女性利用者が多いこともあり“コスメ・美容”は注力カテゴリーのひとつとなっている。特に、19年は商品のバーコードを読み取ると製品情報が表示される“バーコード出品機能”が導入されて出品が手軽になったこともあり、コスメ・美容カテゴリーの流通規模は約400億円(前年比30%増)に成長したが、メーカー側は二次流通上の消費者動向がつかみにくかった。
アイスタイルとメルカリの取り組みは盛り上がる二次流通と一次流通をつなぐもので、野辺一也メルカリ執行役員は「この化粧品カテゴリーを充実させるとともに、メーカーのビジネスにも大きく寄与していきたい」とコメント。吉松徹郎アイスタイル社長は「400億は百貨店の化粧品フロア以上。二次流通について化粧品業界はどう見極めていけばいいのかという問題があるが、一番大切なのは“見える化”することだと思っている。二次流通の現状をメーカーと共有して認識していきたい」と提携の意図を説明した。アイスタイルはメーカーやブランドを対象にしたマーケティング支援サービス「ブランドオフィシャル」を運用しており、「メルカリ」内の二次流通データを活用して消費者動向の詳細な分析に役立てる予定だ。
メルカリPR担当者によると「メルカリ」には、高級ブランドの口紅を正規の価格では手が出せない中高生が購入するなど、ブランド側にとって“将来顧客”となり得るユーザーも多いという。今回の提携ではそのほか、「メルカリ」上で製品検索をするとアイスタイルが持つ製品情報を表示したり、検索しても出品されていなかった製品に対して一次流通先を案内するなどの取り組みも視野に入れている。