1月19日に閉幕したパリ・メンズ・ファッション・ウイーク。今季もばっちり、バックステージでイケメンをハントしてきました!「売れっ子モデルの周期ってなんて早いんだろう」と感じずにはいられないほど、今季は前季と顔ぶれに変化が見られました。
例えば、前季に最旬メンズモデルとして取り上げたアルトン・メイソン(Alton Mason)はパリコレに参加せず撮影のためアメリカに滞在していたようで、一度も会うことがありませんでした。ただし、それはむしろ彼のキャリアが上がっている証し。ランウエイモデルとして起用されるのはモデルにとって顔を知ってもらうための宣伝効果で、エディトリアルやルックブック、願わくは広告に起用されるのが最も高いステータス=高額なギャランティーなワケです。前季のファッション・ウィーク以降、「エトロ(ETRO)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」などの広告や、オーストラリア版「GQ」の表紙を飾るなど、アルトンの活躍ぶりを至る所で見かけました。
前シーズン注目したジーヌ・マハデヴァン(Jeenu Mahadevan)もアルトン同様の活躍ぶり!「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」の広告やイギリスの新聞紙「ガーディアン(The Guradian)」のエディトリアルなどで見かけました。今季のバックステージではロンドンの「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」とパリの「ボーディ(BODE)」で再会しました。スリランカ系の血を持つ彼のような、南アジア諸国出身者のメンズモデルは確実に増えています。
そして今季はアフリカ系のメンズモデルの躍進が大きかったです。「モデルズ・ドット・コム(Models.com)」によると、ランウエイを最も多く歩いたのはセネガル出身のマリック・ボディアン(Malick Bodian)。「ルイ ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「エルメス(HERMES)」など、合計23ブランドのショーに登場したそうです。
さらに、私が各都市のバックステージ取材で数回見かけて注目したのはロメーヌ・ディクソン(Romaine Dixon)です。フェイスブックにアップした写真をきっかけにスカウトされ、昨年6月にモデルデビューを果たしたジャマイカ出身の20歳。190cmの長身に細身&小顔といった、洋服を最高にかっこよく見せる理想的な体型の持ち主です。男性らしさはありますが、クリクリとした大きな目元は女性のようで、カッコ可愛い系。すでに「フェンディ(FENDI)」「ディオール」の広告に起用されており、スターモデル街道をますます駆け上がっていきそうな勢いです!
RHUDE
妄想で女装させたくなる美形ぞろい
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そんなロメーヌがランウェイを歩いた「ルード(RHUDE)」は、甘いマスクのイケメンぞろいでした。ファーストルックを飾ったアナトーリはかなり甘めの顔立ちで、女装したらとっても可愛くなりそうで勝てる気がしません(笑)。切れ長の目元が印象的なセンヤは、女装したらカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevigne)にそっくりになりそう。マチューとアントワーヌのようなアイルランド系赤毛のメンズモデルってあまり目にすることはありませんが、ウィメンズの「シモーネ ロシャ(SIMONE ROCHA)」のロマンティックなドレスが似合いそう。と、勝手にメンズモデルを頭の中で女装させて、妄想を膨らましておりました。
BOTTER
アジア系モデルの注目株を発見
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「ルード」で会った中国出身のメンは「ボッター(BOTTER)」にも起用されていました。そのほか「ロシャス(ROCHAS)」「バルマン(BALMAIN)」でもランウエイを歩き、「ランバン(LANVIN)」の広告も務めるアジア系の注目株です。「ボッター」ではアジア系モデルの割合が高かったのですが日本人はおらず、全員が中国出身者でした。同ブランドのデザイナー、ルシェミー・ボッター(Rushemy Botter)がカリブにルーツを持つためか、カリビアン系の黒人モデルも目立ちました。ファーストルックのケルヴィンやイブラヒマは昨年デビューした若手。ちなみに同ブランドのメイクアップアーティストは、ショーが始まる直前にモデルに目薬をさして目の下を少し濡らすといった細かな演出を加えていました。目がキラキラ、ウルウルして見えるのはメイクの効果です。
BODE
エキゾチックな神秘系男子たち
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ジーヌが歩いた「ボーディ」は、南アジア系のエキゾチックなメンズモデルが最も多かったように思います。カングカンはインド出身、ソルはイギリス、アラミッシュはスウェーデン、ナジンはフランスと出身国はヨーロッパですがルーツに南アジア諸国が混じっていそうな人種です。「ボーディ」の生地はインドの伝統的な織物や刺しゅう、古布を多用していることもあって、あえて南アジア系のモデルを選んでいるのでしょう。短髪のクルクルヘアーのモデルが多かったのも特徴でした。ジーヌもさることながら、ラトビア出身のクリステルスも売れっ子モデルの一人。彼はなんと23歳にして5歳の息子のパパなんです!バックステージで会う度軽く挨拶を交わすと、「ハロー」と言いながらウィンクしてくれます。ウィンクされるのはあまり好きではないですが、彼は例外的に受け入れちゃいます(笑)。
TAAKK
個人的好みではナンバーワンの人選
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バックステージ取材が仕事とゆえど、ジャーナリストである前に私も一人の女性です。やっぱり好みの男性にはついつい目を奪われてしまうもので、個人的には「ターク(TAAKK)」のモデルに一番目移りしてしまいました。決して仕事そっちのけでヘラヘラしていたわけではありません(笑)。ほかのショーでは見かけない新人か、大きい事務所ではない素人風のモデルが多かったように思います。特に誰か特定のタイプの男性がいたわけではなく、全体としてカッコイイ雰囲気がムンムンしていたのは、「ターク」の衣服が引き出した魅力かもしれません。
DOUBLET
“井野新喜劇”に集うフレンドたち
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“キャスティングナイスで賞”を贈呈するとしたら、間違いなく「ダブレット(DOUBLET)」でしょう。起用したほとんどがキャスティング・ディレクターの知人だそうで、モデルではない一般人が多かったようです。ショーでは笑いながら歩いたり喋ったりする演出で、まるで喜劇を見ているように平和的でポジティブなムードに包まれていたのは、「ダブレット」の衣服とヘアメイクにも負けない強い個性を持ったモデルらのおかげも大きかったはず。井野将之デザイナーの世界観を十分に発揮するキャスティング力に拍手を送りたいと思います!