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連載 編集長・向の今日は誰と会って、何食べた?

編集長はパリコレで何した?Vol.7 強烈だった「バレンシアガ」、優しくつながる「イッセイ ミヤケ」、「トム ブラウン」の動物の深い意味

 手を洗っては消毒し、しっかり食べて寝ておきたら体温測定という、今だかつてなく健康的なパリコレ取材を終えました。毎晩遅くまで飲み歩くパーティー生活が“不健康だけどおしゃれ”なんてイメージはパリコレでも完全消滅。ただし、パーティーで騒いだりはしないけどこの状況下だからこそ連帯しファッションの、そしてクリエーションの灯は消すまい!という思いは逆に強まりました。残り数回、パリコレ日記を更新しますのでお付き合いください。

3月1日(日)10:00
人種も世代も超えてつながる
「イッセイ ミヤケ」

 近藤悟史デザイナーによる2シーズン目の「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」です。デビューショーもそうでしたがモデルがジグザグに歩いたり、パフォーマンスをしたりと、いわゆるキャットウォークではなくインスタレーションのような演出です。先月訪れたNYの現代美術館MoMAでは、その場に居ないと見られない“刹那なパフォーマンス”がアートとして認知され盛り上がっているのを肌で感じましたが、「イッセイ ミヤケ」のショーもそこと通じるものがあります。

 メッセージも頭で理解するというより、直感で受け取る感じ。フィナーレの“つながる”ホールガーメントニット演出は、今季を象徴するものとなりました。2つ目の動画はフィナーレでの観客の反応を収めました。賞賛の拍手をご覧ください。

11:30
「バレンシアガ」の
強烈なメッセージ

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」はパリ郊外にある広~~~~いスタジオにひな壇型の客席を作り、天井一面にビジュアルを投影するという大掛かりな演出を見せました。始まりを待つ間は真っ暗。ショーが始まって初めて気が付きました。なんと床は水浸しで客席の最前列は水の中に沈んでいます。

 そして始まったのが、気候変動により荒れ狂う自然の映像です。森林火災を連想する炎の映像、洪水を連想する海の映像。実際に経験をした人にはキツイだろうなぁと思うくらいリアルで迫力があります。体を守るような服を着て、水を蹴散らして歩くモデルたち。

 地球がこんなになっているのにファッショショーをするのか、そして見るのかと自虐的な気持ちにもなります。説明不要かと思いますので写真にキャプションはつけません。どうぞご覧ください。

13:00
「ノワール ケイ ニノミヤ」
×「チャーチ」

 「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の展示会で「チャーチ(CHURCH’S)」とのコラボシューズを発見。素敵。二宮さんの歴史あるブランドやアイテムへのリスペクトをそこに見ました。

14:00
「トム ブラウン」のノアの箱舟

 朝一の「バレンシアガ」とは対極のほのぼのムードですが、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」のメッセージもまた地球温暖化への警鐘でした。メンズとウィメンズが全く同じ格好で登場するという新しいタイプの合同ショーで、手には動物のバッグを持っています。実にいろんな種類の動物の登場し、そこには“ノアの箱舟”という意味が込められていたようです。

 シリアスなストーリーですが、カワイイ。これもファッションの力ですね。フィナーレにはペアが入れ替わり、同性同士のカップルになって登場するというインクルーシブなメッセージも素敵です。動画はショーの幕開けのシーンです。微笑まずにはいられません。写真の中から好きな動物を見つけてください。

16:00
「ビューティフルピープル」が
ベストコレクション

 「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」はパリコレ進出後のベストコレクションとなりました。新しい服の形の模索を続けながら、これまでは時に難解だったりトゥーマッチだったりしましたが、今季はすっきりとわかりやすく、ちょっと面白く、何より「着たい」と思わせる力があります。これぞ、「ビューティフルピープル」ですね。

17:00
「ヴァレンティノ」と
ビリー・アイリッシュ

 「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の音楽にはいつも注目しており、今季は流行りのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の「All the good girls go to hell」。しかも管弦楽の生演奏とのセッションです。ビリー・アイリッシュを使うショーは多いですが、彼女の曲は大きな会場で大音響で聴くのが合わないな~と思っていました。ひとりでイヤホンを通じて暗~く聴くのが合っています。でもこれは良かった。着る人を主役として、平等性や包括性を表現したというショーに合っていました。

18:30
「タトラス」のカラフルなダウン

 「タトラス(TATRAS)」がパリコレでショーを発表しているのをご存じですか?情熱的なピアノの生演奏をバッグに見せたのは、ビンテージライクなダウンコートというありそうでなかったアプローチ。デニムやコーデュロイなどの素材使いもユニークです。

20:00
強くてリアルな「ジバンシィ」の
女性像

 今季のベストコレクションのひとつが「ジバンシィ(GIVENCHY)」。黒と赤をキーカラーとした迷いのない強い女性像で圧倒されますが、よく見るとコーディネートがリアルで着てみたくなる。そんな2つの顔を持っています。

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