トレンドとしては落ち着いたが、ストリートの影響力は今も絶大。理由の1つが、ニューガーズグループ。「オフ-ホワイト c/o ヴァージル・アブロー」「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」「パーム エンジェルス」「ヘロン・プレストン」「キリン バイ ペギー グー」「アラヌイ」「A プラン アプリケーション」を束ね、“ラグジュアリー・ストリート”というマーケットを開拓したゲームチェンジャーだ。「WWDジャパン」は、今シーズンのミラノコレクション取材で同社の創業者の1人、ダヴィデ・ドゥ・ジーリオ会長兼最高経営責任者にインタビュー。昨年のファーフェッチ傘下入りから、直近の「アンブッシュ」などの買収、新時代の組織論までを尋ねた。(この記事はWWDジャパン2020年3月9日号からの抜粋です)
WWDジャパン(以下、WWD):日本のメディアのロングインタビューは初めてだと思うが、アナタの今に至るまでのヒストリーは?
ダヴィデ・ドゥ・ジーリオ=ニューガーズ グループ会長兼最高経営責任者(以下、ダヴィデCEO):最初の起業は、1997年。ビンテージライクなアメリカンウエアをメード・イン・イタリーで生産する「ヴィンテージ55」というブランドだ。その後、「違うビジネスにトライしたい」と考え、会社を売却した。長年の友人のマルセロ・ブロンから「いいアイデアがあるんだ」と連絡が来たのは、2012年。当時の彼は、スマホくらいしか持っていなかった(笑)。ファッションの世界におけるPRやマーケティングのエキスパートで優れたDJでもあったけれど、デザイナーじゃない。そんな彼が僕にスマホを見せながら、「これからは、ソーシャルメディアの時代だ‼」って教えてくれたんだ。当時の僕は、フェイスブックのアカウントさえ持っていなかった。彼は、「アイデアがあるんだ。Tシャツを作って、音楽やファッションの業界の友達に贈りたい」って語り出す。「ブランドを設立したい」とか「コレクションを作りたい」じゃなくって、逆に興味が湧いたんだ。彼は南米パタゴニア(チリとアルゼンチンにまたがる地域。彼はアルゼンチン出身)生まれで、「南米のカルチャーとテクノミュージックを融合したい」と訴える。そこでパタゴニア地域の野生動物をベースに、テクノっぽいモダンなモチーフを起こして、Tシャツにプリントすることを考えたんだ。でも、マルセロの希望をかなえるのは、とっても難しかった。だって彼は「360度、ぐるっとプリント」したかったんだけど、当時、そんな機械はなかったからね。そこでTシャツやプリントに関する僕たち、イタリアの知識を総動員して、既存のテクノロジーをいろいろ組み合わせ、新たな手法を開発したんだ。それから2カ月後には、もう大成功していたよ(笑)。
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