ニューヨークを拠点に活動するアーティストのカウズ(KAWS)と、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を制作するアキュート・アート(Acute Art)が、スマートフォン用ARアプリ「Acute Art」でカウズの作品を購入、鑑賞、発見できるサービス「EXPANDED HOLIDAY」を開始した。アプリは、アップストア(App Store)とグーグル プレイ(Google Play)から無料でダウンロードすることができる。
今回のサービスでは、期間限定の無料版と有料版、無期限の有料版の3つのサービスが提供される。無料版では3月12日から26日まで、渋谷スクランブル交差点をはじめとした世界12カ所で、目が×印のカウズの代表的なキャラクター「コンパニオン(COMPANION)」の巨大AR彫刻をアプリを通して鑑賞することができる。この巨大コンパニオンは、2012年に百貨店のメイシーズ(Maycy’s)のために制作されたバルーンタイプの作品がベースとなっており、AR彫刻で新たに生まれ変わらせた。
期間限定の有料版は、AR彫刻のコンパニオンのサブスクリプションサービスだ。860円で7日間自由に表示・撮影することができ、コンパニオンは全3種。3800円を支払えば3種を並べて表示することも可能だ。無期限の有料版では、1.8mのAR彫刻のコンパニオンの永久保有権が購入できる。価格は1万ドル(約104万円)で、世界25個限定。自由に表示・撮影することができるのはもちろん、特定の箇所に設置し他ユーザーへの公開や、アキュート・アートの公式サイトを通じて永久保有権を他ユーザーに転売することもできる。転売する場合は、販売価格から30%の手数料が差し引かれ、販売者と購入者の両者がそれぞれ半額を負担することになる。
カウズがサービスを提供した理由について「彫刻を作るとき、その重さや建物に設置する方法など、ロジスティックな問題を考えないといけない」と話すように、昨今のアートシーンではARやVRが新たな展示の場として注目を集めている。仮想空間であれば、たとえ巨大作品であっても大規模な設営や巨額の運搬費を抑えることができ、端末さえあれば世界中のファンにリーチすることができるからだ。
なお、無料版が展示される12カ所は以下の通り。
・渋谷スクランブル交差点/日本(東京)
・タイムズスクエア/アメリカ(ニューヨーク)
・ブルックリン美術館/アメリカ(ニューヨーク)
・ルーヴル・ピラミッド/フランス(パリ)
・ミレニアム・ブリッジ/イギリス(ロンドン)
・香港観覧車/中国(香港)
・国立中正紀念堂/台湾(台北)
・東大門デザインプラザ/韓国(ソウル)
・ビクトリア国立美術館/オーストラリア(メルボルン)
・イビラプエラ公園/ブラジル(サンパウロ)
・イスラム美術館/カタール(ドーハ)
・セレンゲティ国立公園/タンザニア