百貨店主要5社の3月度の売上速報が出そろった。各社の業績は、おしなべて約4割の減収。3月上旬から新型コロナウイルスの蔓延が都内でも本格化し、各社の基幹店も時短営業や臨時休業などを強いられたことが大きなダメージになった。また3月9日より、行政が中国・韓国からの入国者を2週間待機とする水際対策強化をとったことで、免税売り上げはさらに減少した。
各社の3月度の既存店売上高は、三越伊勢丹が前年同月比39.8%減、高島屋が同36.2%減、大丸松坂屋百貨店が同40.9%減、そごう・西武が同31.9%減、阪急阪神百貨店が同38.1%減だった。
三越伊勢丹は3月2日から首都圏6店舗(日本橋、銀座、新宿、恵比寿、立川、浦和)の平日の営業時間を午前11時~午後7時とし、平時より1〜2時間短くした。基幹店は、伊勢丹新宿本店が同37.9%減、三越日本橋本店が同40%減、三越銀座店が同55.1%減。3店合計の免税売上高は同約9割減と壊滅的で、「にぎわっていた銀座店も、今は(免税客が)ほとんどいない」(同社広報)。
高島屋は大阪店が同47.4%減、新宿店が同41.2%減。3月末には東京都の外出自粛要請を受け、他社に先駆けて首都圏3店の週末(28、29日)臨時休業を決めた。「今は状況を打開することよりも、お客さまと従業員の安全が最優先」(同社広報)。大丸松坂屋百貨店は3月の毎週火曜日を全店臨時休業とした。心斎橋本店の売上高は同63%減だった。
消費者が外出を必要最小限とする中、百貨店に出向く客は減り、またファッションを求めるマインド自体もしぼんでいる。そごう・西武は3月の入店客数が同3割減。阪急うめだ本店は同約4割減。高島屋は婦人服カテゴリーの売り上げが同53%減、紳士服が同45%減だった。
一方、食品や化粧品などの消耗品・必需品はECで売れている。これらがけん引する三越伊勢丹の定期宅配サービス「イセタン ドア」、化粧品のEC「ミーコ」の売り上げは前年同月比2倍。高島屋も「オンラインストアでの食料品、化粧品の購買が伸びている」といい、「お客さまの要望に答えられるよう、品ぞろえを強化する」方針。