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「ニトリ」、新型コロナ下でも快走 今期も増収増益を計画 34期連続へ

 ニトリホールディングス(HD)の2020年2月期決算は、売上高が前期比5.6%増の6422億円、経常利益が同6.3%増の1095億円になり、連結で33期連続の増収増益を達成した(単体では34期連続の増収増益だった)。21年2月期の業績予想でも売上高6532億円(前期比1.7%増)、経常利益1133億円(同3.4%増)を計画し、34期連続の増収増益を見込む。新型コロナの影響で上期の既存店売上高は上期で前年同期比3.8%減を見込むものの、下期は同1.0%増、通期で同1.4%減に抑え込み、新規出店とECでカバーする。創業者の似鳥昭雄ニトリHD会長兼CEOは、「以前から言っているように、不況こそチャンスだ。過去の経験からいくと、建築費が半分になる。7~8年前から考えると今は建築費が倍になっているが、もとに戻っていくとみている。来年、再来年に向けて、投資のチャンスだ。大阪や東京にも土地をいくつか買っており、建築費が下がればすぐに建てることもできるし、新たに土地を買うこともできる。今後は土地も1〜3割下がる。物流センターも含めて、土地と建物に投資するチャンスだ」と語る。

 経済に与える影響はリーマンショック以上かもという見立てもしながらも、「リーマンショック前から値下げ宣言をして2年間で8回値下げをした。けれども、シェアは取れたが全体的に価格が下がりすぎ、安物のイメージが付きすぎて、一部の顧客が離れてしまった。今回は品質、機能をどんどん+していく」として、「よそが真似ができないこと」として、コーディネート提案も現在の40%から毎年10%ずつ引き上げ、最高70%にまで高めたい考え。大人の女性向け衣料ブランド「N+(エヌプラス)」も前期4店舗を出店したが、今期は6店舗、来年からは2ケタ以上出店したい考え。

 20年2月期は、ニトリの快進撃が始まった1988年2月期(売上高103億円、経常利益5億円、経常利益率5.2%、店舗数16店舗)に比べて、売上高は62倍、経常利益は219倍、経常利益率は11.9ポイント高い17.1%、店舗数は38倍の607店舗へと大きく躍進している。

 新型コロナの影響もあったものの、売上高はほぼ期初計画(6430億円)通り、経常利益は期初計画(1060億円)を上回った。売上総利益(粗利益)は同6.9%増3543億円で、粗利率は0.7ポイント向上し、55.2%だった。本業のもうけを示す営業利益は同6.6%増の1074億円、純利益は同4.7%増の681億円だった。

 ホームファッションでは、プライベートブランドの「Nクール」や「Nウォーム」といった季節商品の売り上げが伸長。新商品のベッド下のデッドスペースを活用した収納一体型ベッド「ジオ」は、一時在庫切れが起こるほど好評だった。他にも、体圧分散性に優れた電動リクライニングソファ「ビリーバー」や、自社開発マットレス「Nスリープ」シリーズが好調に推移した。

 既存店売上高は2.8%増で、客数は1.3%増、客単価は1.4%増だった。直近の3月度も、新型コロナウイルス騒動で外出自粛などもあったものの、既存店の客数が13.1%増、客単価が1.9%減で、既存店売上高は10.9%増、全店で14.0%増と好調に推移している。

 オンラインと実店舗の融合や、宅配サービスなどで利便性を向上していることもあり、EC売上高は14.6%伸び、443億円に達した。とくにネット限定の多色・多サイズ商品が好調で、ネット限定商品は40%増で推移した。

 店舗数は国内で36店舗増加し541店舗に。再編中の海外は4店舗を出店し、9店舗を閉店し、66店舗。併せて期末店舗数は607店舗になった。とくに期中は前期に7店舗だった改装を25店舗で実施。白井俊之社長兼COOは「売り場の進化と買い方の進化を主眼に置いた改装を行ってきた。これまで以上にトータルコーディネートを楽しんでもらえるように、スタイル別・コーディネート提案を進めた。時代に即した買い方で、より便利になるように、デジタルカタログ端末の導入や、3Dシミュレーターなども導入した。さらに標準化を進めていく」と語る。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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