「エルメス(HERMES)」は4月11日、中国広州市の旗艦店を移転オープンした。複数の情報筋によれば、当日の売り上げは少なくとも1900万元(約2億8500万円)に上り、中国国内の店舗における1日の売上高としては過去最高になったとみられている。
同旗艦店は多くのハイブランドが並ぶショッピングモール、タイクーフイ(Taikioo Hui、太古匯)に2011年にオープン。同じく広州市にある商業施設ラ・ペルレ・プラザ(La Perle Plaza)に出店していた1店舗目を閉じ、今回それを統合する形でタイクーフイ内のより広いスペースに移転した。新たな店舗は以前「プラダ(PRADA)」があった場所で、広さはおよそ510平方メートルの2層建てとなっている。
移転オープンに当たっては、ダイヤモンドで飾られた“ヒマラヤ バーキン(HIMALAYAN BIRKIN)”などの希少な商品がそろえられた。当日は近隣地域からも上得意客が集まり、レザーグッズをはじめ、テーブルウエア、シューズ、家具などが飛ぶように売れたという。「エルメス」からのコメントは得られなかったが、中国版のツイッターであるウェイボー(微博、WEIBO)や、中国の若い女性富裕層に人気のSNS型ECアプリ、シャオフォンシュウ(Xiaohongshu、小紅書、通称RED)には、そうした得意客らが同旗艦店で買い物を楽しむ様子が投稿されている。
新型コロナウイルスの影響で「エルメス」も中国の店舗を一時的に休業していたが、現在はそのほとんどが営業を再開している。世界的な感染拡大で景気の悪化が懸念される中、ラグジュアリーブランドは一足先に事態が沈静化している中国市場での需要回復に期待を寄せており、「エルメス」はその好例となったといえるだろう。