ジーンズ専門店大手のライトオンの上半期(2019年9月~20年2月期)は、売上高が前年同期比19.9%減の312億円、純損益が4億8300万円の赤字(前年同期は17億円の赤字)だった。既存店売上高は期初計画6.0%減に対して、16.5%減と大きく下回った。3月1日付で就任したばかりで、創業者・政博氏の長男である藤原祐介社長は「大変厳しい結果となった」と決算説明会で述べた。
藤原社長は、「PB(プライベートブランド)の品質向上を進めたが、消費増税とも重なり、急激な単価上昇が客に受け入れられなかった」と話す。実際、PB全体で5000~1万円程度だったアウターが1万~1万5000円に上振れした。また「“アメカジ回帰”を掲げたことで、品ぞろえに偏りが生まれた」と振り返る。
そこでPBの「ラグマシーン(RAG MACHINE)」を“コスパ型トレンドカジュアル”と位置付けて1月からリブランディングしており、さらにメンズの「プラスワン(PLUS ONE)」とウィメンズの「ハニーサックルローズ(HONEYSUCKLE ROSE)」を“きれいめカジュアル”として再構築する。秋には、価格を含めてリブランディングされた商品が店頭に並ぶという。藤原社長は、「SC(ショッピングセンター)内の売り場は立地も良く、増床も進めてきた。価格やラインアップの適正化が図れれば、赤字は回復できる」と話す。
販路拡大も命題として、4月22日にファッション通販サイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」に復帰する。かつてライトオンのEC売り上げの大半は「ゾゾタウン」が占めていたが、ZOZOがスタートさせたサブスクリプション型の会員サービス“ZOZOARIGATOメンバーシップ”に反発する形で、19年2月に撤退していた。当時社長を務めていた川﨑純平取締役は「ZOZOの経営体質も変わった。ライトオンのECは現在、自社と『楽天』のみだが、超大手である『ゾゾタウン』を無視することはできない。『ゾゾタウン』に限らず、“戦い方”を見極めつつ外部ECはあらためて拡大したい」と述べた。
新型コロナウイルスの感染拡大をめぐっては、「全国に約460ある店舗のうち3~3.5割が休業中で、当該スタッフは自宅待機している。現時点で、全従業員に対して雇用維持とスタッフが安心できる水準の保証を約束している」(藤原社長)。
一方で通期業績予想については、「“コロナショック”に伴う外出自粛要請による消費マインドの低下、緊急事態宣言による商業施設の営業時間短縮、長期にわたる臨時休業などが来店数の減少に大きく影響することが予想され、合理的に算定することが困難なため未定」とした。
ライトオンは18年8月期に2年ぶりに営業損益が黒字化したが、前期(19年8月期)には再び21億円の赤字に転じた。