ユニクロ、ジーユーを傘下に持つファーストリテイリングは、新型コロナウイルス感染症対策支援として、アイソレーションガウン(いわゆる医療用ガウン)20万点と「ユニクロ(UNIQLO)」の機能性肌着“エアリズム”を、国内医療機関に寄贈する。ガウンは中国の取引先工場から調達。東京、大阪、神奈川など感染者の多い都道府県と日本看護協会を通じ、5月中旬を目途に各地の感染症対策の基幹病院に寄贈する。
これに先立って同社は3月末、国内外の医療機関に医療用を中心としたマスクの提供を開始した。計1000万枚を寄贈するよていで、日本のほか、感染者の多い米国やイタリアなど19の国と地域で既に提供が確定している。日本では4月中旬に第1弾として約35万枚を医療機関に寄贈、5月中旬までに計100万枚を寄贈する予定だ。
「もともと、東日本大震災のときに中国の協力工場から義援金をいただいていた。それで、今回(中国でコロナ危機が広がった際に)主力工場には10万ドル、そのほかにも義援金を送ったら非常に感謝され、日本や世界が危機的状況になったときに、中国のマスクや防護服(ガウン)を作っているメーカーから、『何か社会支援できることはないか』と提案をいただいた」と柳井正社長兼会長は経緯を話す。
“エアリズム”は国内だけでなく、既に欧州や東南アジア各国で、現地法人を通じ医療機関などへの寄贈を進めていた。「ガウンの下に“エアリズム”を着用することで、蒸れなど医療従事者の肉体的負担を緩和できるという声が寄せられている」と広報。また、コロナショックと関連しDV(ドメスティックバイオレンス)の増加なども問題になっている中で、17の国と地域では、現地法人を通じてDV被害者やホームレスなどの支援団体に“エアリズム”“ヒートテック”ダウンジャケットなどの提供や、NGOなどへの寄付を行っている。
なお、コロナショックに伴い、アジア圏などの縫製工場では発注量の大幅減やキャンセルが大きな問題になっている。ファーストリテイリングでは、工場が休業を余儀なくされた場合の従業員への補償に関するガイドラインを工場側に提供するとともに、工場の衛生管理を強化。また、工場とその従業員との間に雇用契約などに関し何か問題が起こった際に、従業員から同社に直接通報ができるホットラインも設置した。工場が生産済みの商品や既に生産に取り掛かっている商品に関しての支払いも確約している。