シューズプロデューサーの長嶋正樹とブリットハウス(東京、岩山雅洋社長)は6月11日、東京の東急池上線雪が谷大塚駅そばに、1891年創業の米国のシューズブランド「ボールバンド(BALL BAND)」の初の単独店舗をオープンする。当初、3月末の開店を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて延期した。売り場面積は約18平方メートルで、初年度売り上げ目標は2000万円。
長嶋は2010年に「ボールバンド」の日本における商標権を取得。店舗オープンを機にブランドを3つに分類し、起源であるバルカナイズド製法のスニーカーからなる“ボールバンド”(9800円~)、これまでトレーディングポストが「マークブーツ(MARK BOOTS)」という別のブランド名で展開していた革靴を“ボールバンド・ドレス”(3万9000円~)とし、ブーツを“ボールバンド・アウトドア”(4万円~)として集約する。“ボールバンド・ドレス”と“ボールバンド・アウトドア”に用いられる革は全て手染めのイタリア製で、カラーオーダーも受け付け、「価格については最終調整中だが、各商品の1.5倍ほどを想定している」とし、今秋をめどに木型製作から行うフルオーダーもスタートさせる考えだ。また同店では、革小物ブランド「ブリットハウス(BRIT HOUSE)」の財布(1万1500円~)やトートバッグ(2万8000円~)もラインアップする。
長嶋は、1966年に靴小売り大手のチヨダに入社。84年に独立してトレーディングポストを設立し、同名の靴のセレクトショップを始めた。その後、「アシックス(ASICS)」や「リーバイス(LEVI’S)」の事業にも携わり、2000年にトレーディングポスト事業を売却。新たにシューズブランド「山長」をスタート(翌01年に三陽商会と提携して「三陽山長」に改名)させた。
そして長嶋のライフワークとも言えるのがプラット式グッドイヤー製法で、これは1997年に特許を取得。その後も改良を重ね、現在はボールバンド式プラットグッドイヤー製法として特許出願中だ。「これまではコバが出てしまい、どうしても武骨に見えてしまっていた。新たな製法ではドレス感がアップした」と説明する。最大の特徴はグッドイヤー製法の革靴とは思えない軽さと柔軟性で、「まるでスニーカーのように屈曲する」。アッパーと中底とウエルトを手作業ですくい縫いし、インソールとアウトソールの間にコルクを入れることでクッション性を高めている。生産はベトナムだが、あくまでポジティブな選択だという。「こんなに手間のかかる作業を日本国内で引き受けてくれる工場はない。仮に実現できたとしても、価格は3倍はするだろう」と言い、「日本とベトナムの間には、革靴についての関税や輸入枠の設定がない」とビジネス的メリットについても述べる。
■ボールバンド
オープン日:6月11日
時間:11:00〜19:00
定休日:月曜日
住所:東京都大田区南雪谷1-4-10 1階