ビューティ

マッシュの「トーン」がEC売り上げ12倍 ライブ配信強化で

 マッシュビューティーラボが手掛けるプライベートブランド(以下、PB)「トーン」が、コロナ禍の影響を受けず快進撃が続いている。ライブ配信を強化したことで、4~5月のEC売り上げが前年の12倍と伸長。今期(2020年8月期)の売り上げ目標13億円(前期は約8億5000万円)も射程内に入ってきた。

 同社も全国の緊急事態宣言により4月以降店舗の休業を余儀なくされた。そこで、強化したのがインスタグラムを活用したライブ配信だ。小木充マッシュビューティーラボ副社長は「普段、店舗が売り上げを作ってくれているがそれがかなわないときこそ、本社スタッフが力を発揮する番」と考え、「トーン」を含めて1日3回のライブ配信を約束した。PR担当者やブランドのトレーナーなどが製品の特徴や使用方法などを紹介すると、次第にその製品がECで売れるという構図ができてきた。それは同社の本社スタッフに店舗出身者が多いため現場の声を理解している点が大きい。単に製品を紹介するだけでなく、アレンジ方法などを伝えられているのが消費者の心の琴線に触れ購入につながったようだ。

 実際に4~5月の店舗売り上げは全体の10%程度。ECは12倍となった。単月でみるとECと店舗の合算で4月度の売上高は前年同月比25.4%増の9600万円、5月度が同35.5%増の1億1000万円でECが店舗売り上げを上回るほど貢献している。ちなみ店舗はメインで展開するセレクト業態「メイクアップキッチン」9店舗のほか、全国の「コスメキッチン」「ビーブル バイ コスメキッチン」で展開している。

 「トーン」は18年2月に誕生。「ターゲット層は幅広く、高品質で適正価格、使いやすい製品(アイテムや色調)である“ファーストオーガニック”を掲げてスタートした。ナチュラル志向、サステナブルに関心が高い人にも発信できる仕組み作りを当初からしていた」という。小木副社長は管轄する「コスメキッチン」でも環境に配慮した取り組みを早い段階から行っているが、モノ作りへの信念を「トーン」で証明したかったという。化粧品は基本的に使用期限が製造から3年だが、一般的に残り3カ月になると廃棄するケースが多い。そこでたどり着いたのが「究極のクリーンビューティとはBtoCで100%の消化率を達成すること」だった。デビュー時に130SKUあったカラーメイク製品を作る際にも全ての色を売りきるカラー展開にしたという。動きが鈍いカラーがあると、イベントやライブ配信で紹介することを徹底した。4~5月では毎週土曜のライブ配信で特別キットを数種類販売(4000~1万円)。キットにはノベルティーも加えているのが特徴で、モバイルバッテリーも兼ねるコンパクトミラーを組み込んだ。「カラーアイテムのキットは売れ行きが鈍いのが通説であったが、キット製品を使用したメイクのハウツーを紹介したこともありどれも即完売」とうれしい悲鳴を上げる。

 こうした取り組みを行った結果、デビュー時の製品は99.2%の消化率を達成した。「残りの0.8%も6月10日にオープンしたブランド初の直営店のあべのハルカス近鉄本店のためにあえて確保しているもので、実際は消化率100%を実現できている。同店の初日の売上高は約160万円で過去最高の実績となった」。新製品の投入も闇雲に行わず、タイミングや製品構成のバランスを鑑みているという。こうしたことは、既存製品への注目度にもつながり、メイクアップ製品ではマットタイプのリップグロス「ペタル エッセンス カラー バター」の5製品やゴールド×イエローのアイシャドウ「ペタル アイシャドウ」(03)など、スキンケア製品では「ブースター セラム」がベストセラーに。「やむを得ず完売したものも再入荷すると口コミで一気に広がりニュース性が高まる」。

 緊急事態宣言が解除された今、全ての店舗が再開した。今後は「EC売り上げの下げ幅を少なくするのが目標。それには、コロナ禍で実施していた毎日のライブ配信を続けること、ライブ配信で個店レベルの情報も発信することで店舗への誘導をかけること」を推し進め、OtoOを実践して成果を上げていく。

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