ケリング(KERING)はこのほど、ジーン・リウ(Jean Liu)氏、ティージャン・ティアム(Tidjane Thiam)氏、エマ・ワトソン(Emma Watson)氏の3人が取締役に就任したことを発表した。ワトソン氏はサステナビリティ部門の議員も兼任する。
フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)は「同3名を取締役会に迎え入れることを非常にうれしく思う。彼らの知見や能力、さまざまなバックグラウンドや視点はケリングの将来にとって不可欠であり貴重な付加価値となる」とコメントした。
リウ氏は1978年生まれ。北京大学で学士号を、ハーバード大学で修士号を取得。2014年から中国版の「DiDi」を運営する滴滴出行の社長務める。同氏はテクノロジーやシェアリングエコノミーの分野における女性のエンパワーメントも推進しており、その一環として中国のインターネット分野では初となる女性を対象とした人材開発プログラムをスタートさせた。また、ブルームバーグ(BLOOMBERG)が開催するニューエコノミー・フォーラムの諮問委員会のメンバーとして設立当初から関わっているほか、アジア・ソサエティの評議員を務めている。
ティアム氏は1962年生まれ。エコール・ポリテクニークとパリ国立高等鉱業学校を卒業し、ウォーリック大学の名誉法学学士号を取得。94年から99年までは祖国のコートジボワール共和国で閣僚や国立技術研究開発公社のCEO、世界銀行のコートジボワール代表を務めた経歴を持つ。直近ではスイスの銀行大手クレディ・スイス(CREDIT SUISSE)のCEOを務めた。また今年4月には、南アフリカ共和国の新型コロナウイルス対策におけるアフリカ連合特使を任命された。
ワトソン氏は90年生まれ。2014年にブラウン大学で英文学の学位を取得。俳優として活躍するかたわら、女性の地位向上やジェンダー平等に取り組む活動家としての顔も持つ。14年には国連組織、UN ウィメン(UN WOMEN)の親善大使に任命され、男女平等の推進に男性を巻き込むことを目的としたイニシアチブ「ヒーフォーシー(HEFORSHE)」を立ち上げた。そのほか、ファッション業界におけるサステナビリティ推進にも取り組む。また、アパレルブランドのエシカル度を測るオーストラリアの慈善団体のアプリ「グッド・オン・ユー(Good On You)」のサポーターを務めるほか、18年にはオーストラリア版「ヴォーグ(VOGUE)」のゲストエディターとしてサステナビリティに関する特集を手がけた。