「エルメス(HERMES)」は、2021年春夏メンズ・コレクションを公式サイトで日本時間7月5日21時に発表する。舞台演出家のシリル・テスト(Cyril Teste)とコラボレーションし、ライブパフォーマンス形式で最新のコレクションを披露するという。7月9〜13日に予定している21年春夏パリ・メンズのオンラインでの開催に先駆けて発表されるため、新シーズンの開幕を飾る本格的なデジタルプレゼンテーションとなる。
今回のパフォーマンスを指揮するテストは、2000年に照明家のジュリアン・ボイザード(Julien Boizard)と作曲家のニヒル・ボーデュアス(Nihil Bordures)とともにコレクティフ MxM(Collectif MxM)を設立し、同団体のアーティスティック・ディレクターとして活動している。観客の前で演劇を進行させながら、映像の撮影から編集、ミキシングまでをリアルタイムで行う“フィルミック パフォーマンス”など、演劇と映像を融合した手法を得意としている。
デジタルを用いた初のコレクションにテストとの協業を選んだのは、「エルメス」がかねてよりアートや音楽とのつながりを大切にしてきたからこそだろう。19年3月にロンドンで開催した大規模なメンズのイベント「STEP INTO THE FRAME」や、同年8月に東京・原宿で開いた「ラジオエルメス」でも、ファッションをあらゆるカルチャーと結びつけることで、ヴェロニク・ニシャニアン(Veronique Nichanian)=アーティスティック・ディレクターが描く男性像をさまざまな世代の人々に届けてきた。
21年春夏シーズンは、多くのブランドがデジタルでの発表を行う予定だ。服そのものの魅力がどこまで伝わるのか未知数ではあるものの、従来のランウエイショーよりも音楽や演出、ストーリーなどでより総合的に世界観を伝えられそうな期待感はある。そして先陣を切る「エルメス」は、何よりもその手法を得意としている。デジタルコレクションの可能性を探る意味でも、注目が集まりそうだ。