※この記事は2020年6月24日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
コロナで生まれた差が、そろそろ拡大し始める
コロナショックによって変革を迫られ、半ば慌てて立ち上げたプロジェクトや部門横断ミーティングが、一定の成果と課題、そして新たな“気づき”をもたらしてくれています。社内でのミーティングも、会議室の定員の半分までなら認められるようになり、対面コミュニケーションも活発になってきました。今、さまざまな同僚と話をしていますが、イロイロ気づきますね~(笑)。面白い!!彼らの夢が実現できれば、我が社はもっともっと面白くなる!!そんな風に確信している、パワーチャージ期間です。
改めて気づいたのは、皆、デジタルに興味津々ということでした。「今更?」と思うでしょうか?思いますよね(笑)。でも、本当に予想以上だったんです。皆、デジタルをやってみたい。でも週刊紙は絶対的な締め切りがあるし(いや、ウェブもあるのですがねw)、なかなか注力できない。でもでも社内外でデジタルの存在感が増しているのは実感しているし……。そんな思いを抱えている人が多数です。管理職として改めて、各媒体の存在意義から再定義し、振り分ける労力を含めた仕組みを整えなければと感じています。念のために申し上げておきますが、私は「週刊紙の『WWDジャパン』は、絶対に必要」論者です。骨太なジャーナリズムの象徴、賛否両論を巻き起こすオピニオンドライバーは、プリントメディア(であって欲しい。無論、そのためには紙媒体も大きく変革すべきでしょう)。ウェブは、紙からSNS、オンラインセミナーなどのイベントまでを縦横無尽に結びつけるハブとなる。そんな未来予想図を思い描いております。
「デジタルに興味津々」な同僚に話を戻しましょう。みんなとのミーディングで思い出すのは、あるラグジュアリー・コングロマリットが“組閣”しているシャドー・キャビネットの話です。皆さん、シャドー・キャビネットって、ご存知ですか?日本にもきっとある(ハズ。そう信じたい)と思うのですが、野党は通常、与党の内閣に相当する政策立案機関を構えています。これが、シャドー・キャビネット。シャドー・キャビネットは、財務大臣や外務大臣、防衛大臣など内閣同様のメンバーで構成され、現内閣の行動をチェック、批判し、代案を考案。一般的に政権を奪取した際は、このメンバーの多くが本当の大臣になるとされています。あるラグジュアリー・グループは、このシャドー・キャビネット制度を設けています。各ブランドから若手を選び、各大臣に任命し、政策を決める上で欠かせないさまざまな資料、つまり財務状況までを詳らかにして、未来を想像・創造させているそうです。どんな未来が生まれているのでしょうか?ある時シャドー・キャビネットが示した未来は、「百貨店が今に比べて半分の未来」だったと聞いています。そのラグジュアリー・コングロマリットの現段階での主たる販路は百貨店ですから、“現内閣”にとってはビックリ仰天でしょうが(笑)、シャドー・キャビネットとしての職務を全うしているとも言えますね。
遅ればせながら、私たちの会社でも部門を横断するU-30会議が始まりました。初回こそ私が冒頭、みんなへの期待を示しながら、提案には必ず耳を傾け、実行に向けて社内のさまざまを調整するとだけ約束しましたが、今は完全にお任せ。何が起こっているのかは、U-30会議の連絡役から時々届くSlackでしか分かりません(笑)。どうやら、ビックリ仰天なプランがブラッシュアップされているようです(笑)。個別ミーティングやU-30会議、そして、ラグジュアリー・コングロマリットの“シャドー・キャビネット”まで。導入方法はさまざまでしょうが、やっぱりみんなの話を聞くと、面白くて仕方ない。コロナショックの副産物が、自分をアプデしてくれています。
頭に戻りますが2カ月前に動けた企業と、クヨクヨするばかりで動けなかった企業の差は、ファースト・アクションの成果と課題、気づきが形となりつつある今、ますます開くでしょう。
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