放送作家の鈴木おさむが脚本を担当し、その振り切った演出で話題のドラマ「M 愛すべき人がいて」。歌手の浜崎あゆみとエイベックスの松浦勝人会長との出会いから別れまでを描いた同名小説をもとにドラマ化したもので、その主役を演じたのがドラマ初出演となる歌手の安斉かれんだ。これまで動画メディアに登場することが少なかった彼女だが、ドラマを通して新たな一面を見せた。今回そんな彼女に、ドラマの感想から歌手になったきっかけ、ファッションやメイクのこだわり、これからの活動について語ってもらった。
WWD:まずはドラマ「M 愛すべき人がいて」(以下、「M」)に出演してみての感想は?
安斉かれん(以下、安斉):音楽だといかに自分を出すかを意識していたのですが、演技の仕事だと自分とは違う誰かを演じるので、表現方法が全く異なるという、その難しさはありました。
WWD:もともと演技の仕事には興味があったんですか?
安斉:まさか自分が演技の仕事をするとは思っていなかったです。それで半年ほど前に「M」の主演が決まってから急いでレッスンに通いました。
WWD:撮影中での思い出のエピソードは?
安斉:いっぱいあり過ぎて選べない(笑)。ドラマの撮影は初めてで、どんな感じで撮影するのか、共演者もどんな人たちなんだろうかってすごく不安でした。それで実際にお会いするとみなさん優しくて安心しました(笑)。現場も和気あいあいとした雰囲気で、毎日撮影が楽しみでした。
WWD:撮影では新型コロナの影響はありましたか?
安斉:あと少し撮影したら終了というくらいのときに、2カ月ほど撮影が中断しました。それで再開して役の感じを取り戻せるかどうか心配だったので、本番前に事前のリハーサルをして撮影に臨みました。中断は不安だったのですが、実際に再開したらみなさん気合いが入っていて、すごくいい感じに終えることができました。
WWD:ドラマの評判とか見たりしていましたか?
安斉:毎回ツイッターのトレンドにも入っていて、そのコメントがおもいしろいなと思って見ていましたね。
WWD:安斉さんはこれまであまり動画での露出が少なく謎めいた感じでしたが、今回の演技を通して、新たな一面が見られましたね。
安斉:そうですね。これまでほとんど動画での出演もなかったのですが、今回のドラマでは笑っていたり、怒っていたり、これまでにない表情が見せられたと思います。
WWD:演技の仕事は今後もやっていきたい?
安斉:演技がすごく楽しかったので、機会があればぜひやりたいです。ただその前にまずは音楽活動に集中して、しっかりとやっていかないといけないと思っています。
好きなことをやっていたら“ギャル”と呼ばれるようになった
WWD:安斉さんが歌手を目指したきっかけは?
安斉:中学生のときに父親にザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のライブに連れて行ってもらい、そのときに見たサックス奏者の演奏が超かっこよくて、それからアルトサックスを始めたんです。そして吹奏楽部に入りました。そのうちに歌うことにも興味が出てきて、高校1年生のときからスクールに通い出し、それがだんだん楽しくなって本格的に歌手を目指すようになりました。そこからレッスンを重ねて2019年5月にデビューしました。
WWD:曲は全て安斉さんが作詞を担当していますが?
安斉:高校1年のときに歌を始めてから日記をつけていて、作曲家の人に曲をもらったら、そこから言葉を選ぶことが多いです。
WWD:曲を通してどんなことを伝えたいとか意識しますか。
安斉:そういうのはあまり意識していなくて、等身大の自分の気持ちを伝えられればと考えています。だから以前考えた歌詞は今だと絶対に作れないと思いますし、曲を聴けば、私の成長も分かると思います。あまり飾らずに素直な気持ちを伝えたいです。
WWD:7月22日には5作目となる「僕らは強くなれる。」がデジタル配信されます。これにはどんな気持ちが詰まっているんですか?
安斉:これは高校生のときに書いた詞がベースで、学校生活や吹奏楽部の活動のことについて書いていたら自然と応援歌みたいになりました。曲名も「僕」ではなく、「僕ら」にしたのは、“みんなで強くなろう”という気持ちを表現したかったからです。
WWD:この曲のミュージックビデオではブラスバンドの名門校、京都橘高校の生徒100人が出演していて、圧巻でした。
安斉:このミュージックビデオは昨年の夏に撮影したもので、今だったらこんな感じには撮影できなかったですね。私も吹奏楽部だったので懐かしく、楽しかったですね。
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WWD:「M・A・C」の広告にも起用されるなど、ファッションやメイクといった点でも注目されていますが、こだわりはありますか?
安斉:前までは「アイラインは長めに引く」とか、「こうじゃないと“かれん”じゃない!」というこだわりがかなり強かったんですが、最近は少し幅を広げていこうといろいろなファッションやメイクに挑戦するようになりました。今はメイクよりもスキンケアの方が興味があって、まずは肌をしっかりケアしようという気持ちが強くなりました。
WWD:ハイトーンヘアも印象的ですね。
安斉:若干飽きてきましたけど(笑)。でもこの髪ってブリーチはしていなくて、それがこだわりっていえばこだわりかも。色はピンク好きで、昔はピンクヘアにもしていました。今回の撮影のように衣装やメイク、ネイルでもピンクを選ぶことは多いです。
WWD:“令和ギャル”みたいな呼ばれ方もしますが、どう感じていますか?
安斉:ギャルになりたいとは思ったことはなくて、当時好きなモデルさんのまねをしてカラコンつけたり、つけまつけたり、好きなことをやっていたらギャルって言われるようになったんです。でも「ギャル」と呼ばれることには抵抗はなくて、昔私がモデルさんに憧れていたように私に憧れてくれる人がいるとうれしいです。
WWD:最後に今後の目標は?
安斉:今は王道のJ-POPの曲が多いのですが、その幅を広げていき、今後は色々とやっていきたいですし、勉強して作曲もしていきたい。もう少し落ち着いたらライブもやりたいです。