フランスの老舗トランクメーカー「モワナ(MOYNAT)」に、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の前レザーグッズ・デザイン・ディレクターのニコラス・ナイトリー(Nicholas Knightly)が7月1日付で加わった。ラメッシュ・ナイール(Ramesh Nair)=アーティステック・ディレクターの後任だ。内部発表によると、ナイトリーは「モワナ」のレザー製品のクリエイティブ・ディレクション全般を手掛け、デザインチームや開発チームと共に進行中のリブランディングに取り組むことになる。またナイール退任の理由は、個人的なプロジェクトを追求するためだという。
イギリス出身のナイトリーは大学卒業後、自身の名を冠したブランドを立ち上げ、キャリアをスタートした。その後、「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」のデザイン責任者などを経て、2002年に「マルベリー(MULBERRY)」のクリエイティブ・ディレクターに就任。2年間の任期の間に、アイコンバッグの“ベイズウォーター(BAYSWATER)”を生み出した。そして04年、「ルイ・ヴィトン」にレザーグッズ・デザイン・ディレクターとして参加。15年には歴史のあるブランドでレザー製品を手掛けてきた豊富な経験を生かし、自身のバッグブランド「マレット&コー(MALLET & CO.)」を立ち上げ、イギリスの自宅からフリーランスで「ルイ・ヴィトン」のためのデザインも続けてきた。
「モワナ」は「ルイ・ヴィトン」よりも5年早い1849年に、歴史上数少ない女性のトランク職人であるポーリーヌ・モワナ(Pauline Moynat)が創業。軽量で防水性のある自動車用トランクで一躍有名になった。2011年には「ルイ・ヴィトン」を擁するLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)の投資会社であるグループ・アルノー(GROUP ARNAULT)が同ブランドを買収し、サントノーレ通りに店を開くなどしてブランドを復活させた。今年3月には、リサ・アッティア(Lisa Attia)マーチャンダイズ&イメージ欧州・中東担当シニア・バイス・プレジデントが新CEOに就任したばかりだ。