女優やタレント、衣装デザイナーとして活動する篠原ともえは、初のギャラリー個展となる「SHIKAKU―シカクい生地と絵から生まれた服たち―」展を渋谷ヒカリエ8階のギャラリーCUBEで開催中だ。会期は7月20日まで。
同展では“四角”をテーマに篠原自身が製作した衣装6点とドローイングが並ぶ。芸能界デビュー25周年を迎える篠原は今回の展覧会に向けて、これまでの自身の創作活動を振り返り「いま、自分は何を作るべきか」という問いに1年間かけて向き合ったという。篠原は「エンターテインメントの世界に長く身を置いてきたこともあり、たどり着いたのはやはり衣装でした。自分のクリエイションと丁寧に向き合った結果をぜひ皆さんに見ていただきたい」と語る。
作品には廃棄される予定だった余剰生地を使用し、極力余りが出ないようなパターンにこだわった。「普段衣装製作の時に生地をお願いしているogawamineLABさんとの会話の中にヒントがありました。生地メーカーはロールのクセがついた生地などたくさんの余剰生地を抱えていて、年末にまとめて廃棄していたそうなんです。そこで私はそんないとしい布たちに命を吹き込むことができないかという発想に至ったんです。また、いただいた生地一つ一つと向き合って「あなたはどうなりたいの?」と聞くと、「切らないで」と言っている気がしたんです(笑)。もちろんシルエットに限界はありましたが、そこは衣装デザイナーとしての挑戦でした」。
篠原は自身のコンサート衣装をはじめ、これまでに歌手の松任谷由実やアイドルグループの嵐の衣装なども手掛けた。衣装デザイナーとして活動する中で、大量の布やサンプルが廃棄される現場を目にしてきた。「最初は驚きましたが、衣装の世界においてクリエイションの高みを目指すためには避けて通れないことと理解していました。それでも残布の問題は気になっていたので、当時は趣味の範囲で余り布を使ったポーチやスカートなどを作っていました。そこからメディアを通してサステナビリティの課題に取り組む企業の存在を知り、私も自分なりの方法でこの課題に向き合いたいと思ったんです」。着想源は着物のお針子をしていたという篠原の祖母との思い出だ。布を余らせずに、世代を通して愛されるシルエットを作ることが自身の布との向き合い方の原点だったと振り返る。
今年4月には夫でアートディレクターの池澤樹氏とクリエティブスタジオのSTUDEOを設立。「今後は企業の課題解決など、自分のアイディアで社会を盛り上げるお手伝いをしていきたいです。サステナブルなモノ作りも自分なりの方法で続けていくことが目標です」と展望を語った。
■「SHIKAKU―シカクい生地と絵から生まれた服たち―」
会期:7月1〜20日
時間:11:00〜20:00
場所:渋谷ヒカリエ8階 CUBE 1.2.3
住所: 東京都渋谷区渋谷2-21-1
入場料:無料