「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」の創設者で「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズ アーティスティック・ディレクターのヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は7月7日、ファッションを学ぶ有能な黒人学生に向けた奨学金ファンドの設立に向けて総額100万ドル(約1億700万円)を集めたことを明らかにした。
ヴァージルは彼自身による寄付金や、ミネラルウオーターで知られるエビアン(EVIAN)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)、ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)やその親会社のファーフェッチ(FARFETCH)といったパートナー企業から寄付された資金をもとにヴァージル・アブロー“ポスト・モダン”奨学金ファンド(Virgil Abloh “Post Modern” Scholarship Fund)を発足。ファッション奨学金ファンド(Fashion Scholarship Fund以下、FSF)と長期的なパートナーシップを締結した。FSFは、デザインやマーケティング、分析論やサプライチェーンなどの分野で学ぶ将来有望なファッション学生のキャリアをサポートするため、1937年に設立された非営利団体だ。
ヴァージルによるファンドの予算はFSFの倍額となっており、黒人、アフリカ系アメリカ人、またはアフリカの血を引く100〜200人の学生たちに奨学金が提供される。
ヴァージルは、「私は学業や数々の独創的なプロジェクトを通じて黒人デザイナーとしての道を模索し、人にも知られるようになった。ここに至るまで長きにわたって数多くの仕事や打ち合わせ、ランウエイショーなどを行ってきたが、若い世代にも将来を切り開いていくための機会を与えたい。世界にはさまざまな人種が存在するが、私の学んだキャンパスは多様性に富んでいるとは言い難い状況だった。ファッション業界で活躍する黒人を増やすために、黒人学生に特化した財団を設立することが重要だ」とコメントした。
“ポスト・モダン”と名付けられたこの奨学金ファンドでは、ヘロン・プレストン(Heron Preston)をはじめとするヴァージルのデザイナー仲間たちが若い学生に向けたマスタークラスに参加することも決まっており、学生たちは奨学金の受給に加えてキャリアサポートやメンタリングを受けることも可能だ。
ヴァージルは「“チャリティー”の未来を見せたい。へんれいについても、これまでと同様でなければならないとは限らない。これは差別をなくすための試みであり、若者に寄り添うための行動でもある」と話した。
FSFのピーター・アーノルド(Peter Arnold)=エグゼクティブ・ディレクターは、「FSFの役割は、金銭的な事情を抱えている才能豊かな若者たちのクリエイティブな視点や声を高めていくことだ。彼らはファッション業界の未来のリーダーだ。ヴァージルは影響力のある先駆者であり、ゲームチェンジャーだ。ヴァージルや彼のパートナーたちと協力して、多くの若者の人生によい影響を与える機会に恵まれたことを感謝している」とコメントしている。
米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した事件に端を発した、一連の抗議運動に関するSNSの投稿で批判を受けたヴァージルは、奨学金ファンドの設立という行動をとった。
「私は仕事を通じて、黒人のクリエイティブな才能を一貫して支持しており、黒人差別問題に対しても闘う姿勢だ。ファッション業界でも黒人に対する機会均等は注目の話題だ。私には立場があるから、声を上げていきたい。一度は寄付の額が少ないと言われたが、このファンドは100万ドルだ。私がどれほど問題を重要視しているか分かってもらえるだろう」と語った。