ワールドは2021年3月期、収益力の抜本的な改善に向けた構造改革を実施する。グループ内の5ブランドを廃止するほか、継続ブランドも含めた不採算店舗を整理し、全体の15%に当たる計358店舗を閉鎖する。加えて、40歳以上の社員を対象に希望退職者200人を募集する。これらの改革は期中に全て完了する。新型コロナウイルスで大きなダメージを受ける中、課題だったブランド事業のテコ入れを一気に進めるとともに、コストの見直しにより収益体制の強化を図る。
廃止するのは「ハッシュアッシュ・サンカンシオン(HUSHUSH 3CAN4ON)」「アクアガール(AQUAGIRL)」「オゾック(OZOC)」「アナトリエ(ANATELIER)」などで、いずれもSC・ファッションビル販路のブランド。これらの20年3月期業績は赤字で、「今後の黒字化のめどが立たない」(同社)ことから終了を決めた。閉鎖358店のうち、ブランド終了に伴うものは214店で、残りの144店は継続ブランドの低収益店が対象。中には異なるブランド同士の店舗統合なども含まれる。「現在の収支が黒字であっても、立地の将来性や条件の妥当性などを総合的に検討し、継続か閉鎖か決めていく」(同社広報)。
人員整理の募集条件は40代以上の社員で、期間は9月14〜30日。販売員は対象外となり、閉鎖となる店舗スタッフは配置転換する。そのほかコスト削減策として、テレワーク推進と事務所面積の縮小、役員の月額報酬10%減額などを講じる。
同社は5年前(2016年3月期)にも、上山健二社長(現会長)の下で13ブランドの廃止と約500店を閉鎖する構造改革を実施した。以降、デジタルを活用したリユース、サブスクリプション事業や、生産・販売システムを他社に提供するBtoBのプラットフォーム事業を柱とする「ワールド・ファッション・エコシステム」の構築を推進。リアル店舗偏重からの脱却により、利益を出せるビジネスモデルへの転換を進めてきた。一方、ブランド事業については収益力の回復が遅れており、新型コロナの打撃を受けた20年3月期の売上収益は前期比4.5%減(2145億円)だった。
グループ全体では、21年3月期は最終赤字への転落を予想している(20年3月期は純利益80億円)。同社は「来期(22年3月期)以降の確実な復活と次の成長フェーズへの移行を図るため、大規模な事業の選択と集中、改革のスピードをこれまで以上に加速する」としている。