※この記事は2020年7月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
「D2C」って、多分こういうコト
下のリンク1本目で「フーフー」の高坂マールくんが話している「レガシーブランドの参入」のハナシ、D2Cに限らず、よくあるコトであります。マールくんが話している「芸能人のYouTube参入」はもちろん、私たちの世界で言えば「プリントメディアのウェブスタート」も、全く同じ現象です。ウェブの世界では数年前から、例えば「GQ」や「シュプール」が、いよいよ本気でオンラインメディアを拡充。さすが、圧倒的なブランド力と編集力、そして資金(たぶんw)で急成長して、2000年前後にウェブでスタートした新興メディアは、正直駆逐されかけています。
とはいえ正直ワタクシ、マールくんの心配は杞憂だと思っています。いやね、なかなか出来ないですよ、アレは。D2Cをやろうと思っているアパレルブランドは、一度、彼のソーシャルをフォローしてみると良いでしょう。マメです。あんなにIGでライブ配信をして、ツイッターで購入者の投稿をリツイートしている人はいないでしょう。レガシーブランドの皆さん、アナタにその覚悟はありますか?
彼が見据える、次のビジョンにも超共感です。コレは、リンク2本目にある「エヴァンジェリスト(伝道師)」の育成に似たビジョンだと思うのですが、コレに成功すると、ブランドは、勝手にドンドン広がります。ブランドの理念(そもそも、アナタが始めようと思っているD2Cには、社会的理念がありますか?ないと、マジで無理ですよ)に共感した伝道師が、マールくん同様にブランドを広める活動をスタートして、ユーザーの投稿を拡散。ユーザーの投稿はそもそもUGC(User Generated Content)だし、影響力のあるエヴァンジェリストが拡散・ブーストするからますます広がり、そのUserはハイ、もう次の伝道師いっちょ上がり‼︎ってコトですね。D2Cって、D2C2Cなんだと痛感させられます。
コレだけソーシャルでのコミュニケーションを知り、ブランド発の一方的なコミュニケーション以外を設計できるブランドが、他にありましょうか?言っときますけどワタクシ、ここまで洋服そのもののハナシを全くしておりません。ファッションブランド「フーフー」は、洋服のコトを置いておいてもこんなに語れるほど、洋服以外の設計が見事なのです。無論彼のスゴさは、洋服作りでも発揮されていますが、洋服以外の事情にここまで明るく、それを洋服と結びつけられる人は、なかなかいないなぁ、と思っています。一方のレガシーブランドは、最初に洋服でしょうね。それで、マールくんに勝てるでしょうか?
最近、いろんな方から「ビューティはD2Cが多いけれど、ファッションってどうですか?『フーフー』以外、ありますか?」と聞かれます。皆さん、なかなか鋭いですね。
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