コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)の子会社ドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS以下、DSMP)は、ニューヨーク発の新進ブランド「ヴァケラ(VAQUERA)」と、パリを拠点とする新人デザイナー、ヴィクトル・ウェインサント(Victor Weinsanto)が立ち上げたばかりのブランド「ウェインサント」と提携すると発表した。
DSMPはオリジナル商品の企画開発のほか、ブランド育成、生産、販売などを行っており、人気DJのハニー・ディジョン(Honey Dijon)と「ハニー・エフィング・ディジョン(HONEY F—ING DIJON)」を立ち上げたほか、シンガポール発のストリートブランド「ユース イン バラクラバ(YOUTH IN BALACLAVA)」やメキシコ発の「リベラル ユース ミニストリー(LIBERAL YOUTH MINISTRY)」、写真家のイーライ・ラッセル・リネッツ(Eli Russell Linnetz)が設立した「ERL」などを育成している。
エイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe)=コム デ ギャルソン インターナショナル最高経営責任者(CEO)兼ドーバー ストリート マーケットCEOは、「DSMPはシステムを変えるためのプラットフォームであり、さまざまな才能をオープンに受け入れる場所だ。私たちはデザイナーやブランドを所有したいとは思っていないし、自由に自分のペースで活動してもらいたい。クリエイティビティーが何よりも重要だ」と語った。
「ヴァケラ」に関してDSMPは、同ブランドの2021年春夏コレクションのうち半分程度の生産と販売を手掛けるほか、同ブランドのクチュールアイテムも販売する。なお今回の提携に先立ち、「ヴァケラ」は20-21年秋冬コレクションのショーをDSMニューヨークで20年2月に行っている。
ジョフィCEOが19年3月のパリ・ファッション・ウイークで見出したというウェインサントは、パリの服飾学校アトリエ・シャルドン・サヴァール(Atelier Chardon Savard)で学んだ26歳。「クロエ(CHLOE)」や「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」で経験を積み、20年に自身のブランド「ウェインサント」を立ち上げた。まずDSMPのショールームで作品を展示するが、将来的には生産面でも提携する可能性があるという。ウェインサントは、「DSMPのショールームで作品を展示することになり、本当に光栄だ。こうした機会がなければ会うことができない多くのプロフェッショナルに作品を見てもらえるので、とてもうれしく思う」と話した。
21年1月ごろには、「コム デ ギャルソン」のコンセプトストアであるパリの「トレーディング ミュージアム コム デ ギャルソン(TRADING MUSEUM COMME DES GARCONS)」にDSMPが擁する若手ブランドを集め、「ドーバー ストリート トレーディング マーケット(DOVER STREET TRADING MARKET)」としてオープンする予定だと、ジョフィCEOは述べた。これは19年10月にオープンした香水とコスメに特化している店舗に続き、パリで2つ目の“テーマ特化型ストア”となる。