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男性記者2人のミーハー対談 スポーツ各社イチ押しのランシューをはき比べてみた

 スポーツメーカー各社がランニングシューズ開発に熱を注いでいる。一口にランニングシューズといっても、記録更新を目指すトップランナー向けから、趣味として楽しむ市民ランナー向けまでさまざまなタイプがあり、機能とデザインは多種多様だ。そしてそれらは、実際に履いてみないと本当の価値を判断できない。そこで今回は、「WWDジャパン」でスポーツ分野を担当する2人の記者が、各社の新作ランニングシューズを履き比べてみた。ファンランナーとビギナーによる対談だが、「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」「アシックス(ASICS)」「プーマ(PUMA)」「ミズノ(MIZUNO)」の全6社のイチ推しがそろうため、今後のランニングシューズ選びの参考にしてもらえたら幸いだ。

【対談メンバー】
大塚千践:「WWDジャパン」ニュースデスク。37歳男性。ファンランナーとして週2〜3回ほど自宅近辺をランニングしていたが、夏とともになぜかラン熱が燃え盛る。8月は月間100km走破を達成した。

美濃島匡:入社3年目の「WWDジャパン」記者。24歳男性。半年に一度、急に思い立ちスニーカーで夜道を入る程度のビギナー。体を動かすことは好きでバスケットボール、剣道、空手の経験あり。

美濃島:まずは「ナイキ」が8月末に発売した“ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%(NIKE AIR ZOMM TEMPO NEXT%)”(2万4000円)。トップランナー向けのランニングシューズ“エア ズーム アルファフライ ネクスト%(AIR ZOOM ALPHAFLY NEXT%)以下、アルファフライ”をトレーニング向けにアップデートさせたシューズです。

大塚:トレーニングモデルとはいえ、前への推進力はまあまあ強めだと感じました。ゆっくり長く走りたい人というよりスピードトレーニングに向いているのかな。

美濃島:“アルファフライ”はカーボンプレートを搭載しているのですが、このモデルには柔らかな合成素材のプレートが組み込んで安定性を高めたそうですよ。

大塚:たしかに“アルファフライ”よりはコントロールしやすかったかも。前足部の“ズーム エア ポッド”は素人でも違いが明確にわかるぐらいクッション性があって、走ってて楽しい一足だね。少しクセがあって向き不向きは分かれそうだけど、デザインがとにかくカッコイイ。

美濃島:ファンランナーにはデザインのよさがモチベーション維持に直結するので、見た目から入りたい人にはいいかもしれませんね。

美濃島:「アディダス」が“1秒でも早く“をコンセプトに開発した“アディゼロ アディオス プロ(ADIZERO ADIOS PRO)”(2万5000円)は、今年6月に限られたアカウントでファーストモデルを販売し、即完売。9月14日にこのカラーリングで初めて一般販売されます。

大塚:すごい色だね。勝ちたいという思いがデザインから溢れてる。なんたってキャッチコピーが“爆速”でしょ?ビギナーの美濃島さんは履いてみてどうだった?

美濃島:本当に爆速でした。速く走ろうと思わなくても、足が勝手に前へ進む感じ。なんだかトップランナーに仲間入りした気分でした。

大塚:僕は「アディダス」が初めてカーボンプレートを入れた“アディゼロ プロ(ADIZERO PRO)”なら履いたことがあるけど、あれも勝手に前に進むから驚きました。その分、めちゃくちゃバテたけど。

美濃島:このシューズはカーボンを五本指状に形成していて、重心移動がよりスムーズになっているそう。今はカーボンプレートが市場を席巻していますが、“五本指カーボン”がスタンダードになる日も近いかもしれません。

大塚:“ウエーブ デュエル ネオ(WAVE DUEL NEO)”(2万4000円)は真っ白でミニマルなデザインが潔くて好き。最近は機能だけじゃなくてデザインも過剰になってきているから、逆に新鮮に感じます。はき心地も無駄を削ぎ落とした感じで、初めてランニングしたときから足になじんでいるのが実感できました。

美濃島:今年1月の箱根駅伝では、10区区間賞を獲得した創価大学の島津雄大選手がこのプロトタイプを着用していましたね。真っ白なカラーリングが話題となったため、ホワイトカラーも商品化したそうです。

大塚:ただ、今回はいたモデルの中ではダントツでタイトなフィット感だから、慣れるまではちょっと大変かも。僕は結構ズボラなので、スルッと履けてスルッと脱げるシューズを選びがちだから、いちいち気が引き締まります。

美濃島:僕はきつめのフィット感は好みでしたよ。いずれにせよ、「機能もデザインも変化球はいらない」という思いが伝わってくるシューズですね。

大塚:変化球はいらないと思ったら、“ザ ミズノ エナジー(THE MIZUNO ENERGY)”(2万5000円)はメジャーリーグ級の変化球でした。

美濃島:これは「ミズノ史上最高」という柔らかさと反発性が特徴の高反発素材“ミズノ エナジー”のコンセプトモデルとして発売されたシューズ。さきほど紹介した“ウエーブ デュエル ネオ”にも搭載されていますが、こっちは機能性をそのまま表現した斬新なデザインがポイントですね。

大塚:すれ違うランナーの視線は一番感じられるシューズだね。走り心地は反発力がすごくて走っていてもフワフワするからかなりクセはあるけど、新素材の機能性は存分に体感できました。

大塚:“フューエルセル プリズム(FUELCELL PRISM)”(1万3200円)は全モデルの中で一番バランスのとれたシューズという印象。反発性やフィット感、安定感など全部がちょうどいい。気合い入れて走らない日常のランニングにはぴったりかも。

美濃島:ランニング初心者からフルマラソン4時間切りを目指すランナー、大会上位に入るエリートランナーのトレーニングにまで対応するモデルなので、バランスの良さはピカイチです。ソールのつま先が巻き上がっていて、足運びがすごく楽でした。

大塚:ミッドソールの“フューエルセル”も反発性は感じるのだけど、いい意味でいつものランニングに劇的な変化がなく、それでいて快適さも感じられました。

美濃島:スピード感を表現したロゴデザインもいいですよね。

大塚:白黒ベースに赤いロゴが映えるよね。地味過ぎず派手過ぎない絶妙な見た目が好みです。

美濃島:“ノヴァブラスト(NOVABLAST)”(1万6000円)はタイムよりも楽しさを求めるランナーに向けたシューズ。“いつもの道をはずませよう”というコピーの通り、反発性のあるはき心地が魅力です。「アシックス」らしい安定感もありました。

大塚:スピードや反発性のわかりやすさを求めるなら他社でもいいんだけど、気がついたらはいているぐらいの安心感がファンランナーには重要だからね。いろいろはき比べたからこそ、よさが際立ってた。

美濃島:ブラックとグリーンの組み合わせも好きです。

大塚:「アシックス」は最近かっこいいモデルも多いし、底力を発揮しつつあるから今後も楽しみだね。

美濃島:ミッドソールをくり抜いて軽量化させた“ウルトラライド(ULTRARIDE)”(1万円)は、軽やかなはき心地と意外な安定性を備えています。私服に合わせられそうなキャッチーなデザインもよかったです。

大塚:爽やかなカラーリングがいいよね。ランニングでは他社よりもちょっと遅れをとっているけれど、Jリーグ世代としては応援したいブランド。サニブラウン・アブデル・ハキーム(Sani Brown Abdul Hakim)選手やウサイン・ボルト(Usain Bolt)も支えてきたのだから、そのうちとんでもないテクノロジーを発表してきそうな期待感はあるかも。

美濃島:先月は米マサチューセッツ・工科大学(MIT)と共同開発した新ソール“ゼティック(XETIC)”を発表していました。これからもルールにとらわれない独自のアプローチを続けてほしいです。

対談を終えて

美濃島:この夏からスポーツ担当になり、さまざまなシューズを取り上げてきましたが、こんなにたくさん試したのは初めてでした。企業ごとに注力する機能が違ったり、デザイン傾向も異なったりして面白かったです。コロナの影響で体を動かしたいなと思うことも増えたので、これを機に自分のペースでランニングにトライしようと思います!個人的には、「アシックス」の“ノヴァブラスト”をメインに使いながら、気分を上げたいときに「アディダス」の“アディゼロ アディオス プロ”をはいて爆走したいです。

大塚:素晴しい心意気!どんどん走ってください。あらためて各社の性格が見えて面白いよね。マーケティングに隙がなかったり、不器用だけど物作りは超一流だったり、本当にいろいろ。来年開催予定のオリンピックに向けて各社はスピードを追求するのか、安全性に舵を切るのかなど、裏の戦いにも注目したいね。

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