イギリスの俳優ジョン・ボイエガ(John Boyega)は15日、中国市場向けに展開された広告に異議を唱えて香水ブランド「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」のアンバサダーを辞任した。エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)傘下の同ブランド初の男性ブランドアンバサダーだった。
発端となったのは、ボイエガが自ら考案、監督、出演した広告が、彼の知らないうちに中国市場向けに中国人俳優で撮影し直されていたこと。オリジナルの広告はボイエガが育ったロンドンのペッカムにあるバージェス・パークで撮影され、友人と踊ったり家族と時間を過ごしたりするシーンなど、彼のパーソナルな側面を描いている。一方中国市場向けの広告では、ボイエガの代わりに中国出身の俳優であるリウ・ハオラン(劉昊然)が起用されていた。
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」でフィン役を務めたことでも知られるボイエガはSNSで、「事前の連絡や同意のないままに私のコンセプトを使用し、現地のブランドアンバサダーで作り直したことは間違っている。この広告では私の故郷や友人、家族を通して私のパーソナルな背景を写していた」と語った。さらに「多くのブランドがグローバルやローカルのさまざまなアンバサダーを起用するのは当然だが、私の文化を否定するような行為は容認できない」と述べた。
ボイエガの辞任を受けてブランド側は、「彼の決断を尊重し、今後の成功を祈っている」とコメント。また謝罪声明では、「私たちが中国で行ったボイエガの広告に対する行為の誤りを深くお詫び申し上げる。彼は素晴らしい展望と視野を持つ類いまれなるアーティストだ。この広告のコンセプトは彼の個人的な経験に基づいており、それらは作り替えられるべきではなかった。この過ちを重く受け止めており、ブランドとしてよりよい前進のために努めていく」と述べ、中国市場向けに作られた広告をすぐに削除した。
代わりを務めたリウ・ハオランは、22歳の中国の若手俳優。2015年にヒットを記録した連作映画「僕はチャイナタウンの名探偵(唐人街探案)」に主演して人気が急上昇し、その後数々のラグジュアリーブランドと協業している。8月31日に「ジョー マローン ロンドン」のブランドアンバサダーに任命される前には、中国の「ピアジェ(PIAGET)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」「トッズ(TOD'S)」「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」などのブランドの顔として活躍している。