1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は“冷凍美容”について。
みなさんは-190℃の世界を味わったことがあるだろうか。ここ最近、冷凍庫内を軽々超える極寒の中で、自分を冷やしている。ちょっと想像してみてほしい。食品が凍るのが、-18℃。凍ったバナナで釘を打てたり、濡れたタオルを振り回してカチンコチンに凍らせたりできる、テレビで見るあの光景は-40℃。そして地球上で最も寒い場所、南極はおよそ-100℃。-190℃がいかに突き抜けているか、お分かりいただけただろうか。そんな超絶危なそうな世界に己の身を突っ込むという、エキセントリックなことにすっかりハマってしまったのだ。いったい全体それは何のことかというと、こちら。
その名も「クライオ・サウナ(CRYOSAUNA)」。クライオはギリシャ語で冷やすという意味。トップアスリートやハリウッドセレブが愛用していることでも話題の全身冷却療法なのだ(クライオセラピーとも呼ばれる)。ざっくり説明すると、気化させた液体窒素で-110℃〜-190℃をつくりだし、その超絶低温環境の中で1〜3分間己を冷やすというドM美容、もとい、冷却療法である。急激に体を冷やすことによって血管が収縮し、今度はその血管がもとに戻ろうと膨張して一気に血流が促進され、全身の細胞が活性化するという原理。その結果、代謝が上がり、なんと1回入るだけで最大800 kcalも消費するらしい。800 kcalを消費しようと思ったら、だいたい20kmくらい走らないといけない。それが、たったの1回、しかも3分。なんて素晴らしいんだ。
「とはいえ、それ本当に大丈夫なの?」と心配な声も聞こえてきそうだが、欧米のスポーツ医学の現場ではすでに一般的な冷却療法で、医療分野においても病気や手術後の回復促進、皮膚病などの治療にも活用されているそうだ。
一番心配なのは凍傷だろう。凍傷を防ぐため時計などの金属類は全て外し、冷えやすい末端部分には手袋とモコモコブーツを装着。スタッフも常時ついていて、こちらの様子を見ながら温度管理をしてくれるから安心だ。ちなみにパンツ以外の下着は全部脱ぐ。バスローブもカプセルに入ったあとは脱ぐ。つまり、ほぼ生まれたての状態で-190℃に包まれることになるのだ。それでは、レッツ、クールビューティー!
液体窒素の噴出とともにどんどん温度が下がり、冷気が全身を覆う。-100℃に近づくにつれガチの寒さがやってくる。初めて入ったときは漫画みたいに歯がガチガチ音を立てて震えたのを覚えている。
キターーーーーーー!-176℃の世界。ここまでくるともう、笑うしかない。というか、別のことを考えてテンションMAXにしていないと、やってられないのだよ。わっはっは。
たかが3分。されど3分。これが慣れるまではなかなか長い。陽気なオーナーと談笑しながらなんとか乗り越え、キャビンから出るとカッチンコッチンになった全身から冷気が。まるでスーパーサイヤ人にでもなった気分だ。全身(特に太もも)はシャーベットのような“シャリシャリ感“があり、外気に触れることによってゆっくり解凍されていく体感は癖になるほど爽快。その後、冷えた体を温めようと全身がポカポカしてくる。手足まで血流が巡っているのが分かるほど。続けてみて驚いたのは、通常の体温が上がったこと。気をつけていないと35℃台になってしまう私の平熱が、なんと36度5分に……!新陳代謝がよくなった影響か、ここ数カ月コロナ禍で十分に運動できていなかったにもかかわらず、2カ月で2㎏、すんなり痩せた(驚)。とにかくこの体感と感動は、実際に試して味わってみてほしい。
この世界を経験して、冷凍マグロの気持ちがよくわかった。全身を一気に凍らされる気持ち。氷河期を乗り越えてきた生き物たちって本当、すご過ぎだわ!(どんな締めやねん!)
メモ
名越が足しげく通う「クライオ・サウナ」はこちら。
陽気なオーナーが明るくサポートしてくれることでしょう!
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