REPORT
クラシックとスポーツ、フォーマルとストリート、モードとコマーシャル……。真骨頂の折衷主義が炸裂
6年ぶりにミラノ・メンズ・コレクションでランウエイショーを開いた「マルニ」は、独自の折衷主義が炸裂。スタイルはもちろん、ビジネス戦略においても、バランスの良さが際立った。
コレクションは、あらゆるスタイルを貪欲に取り入れ、それを「マルニ」らしいキッチュなムードでまとめていく。例えばジャケットは、多数のポケットを取りつけただけでなくハリのある素材で成形し男っぽいが、直線的なシルエットだからこそ独特の落ち感が現れ、柔和なムードさえ感じさせる。そんなアウターと合わせたのは、細くて長い、シャープな襟が特徴のシャツ。アウターはどちらかと言えばクラシックで実用的。対するシャツは前衛的でモード。ここでも異なるテイストを一つに融合している。
アウターとインナーでさえさまざまなテイストを盛り込んでいるのだから、トップスとボトムスでも異なるスタイルを対比させるのは当然だ。スリムテーパードからリラックスストレートまでさまざまなバリエーションを用意したが、上半身とのコントラストが強いのは、少年性の高いハイウエストのリラックス・ストレート・ショーツやワイドテーパード。ユーティリティー(機能性)の高いメンズな上半身と、緊張感のないボーイズな下半身のアンバランスが面白い。
そして、バランスの良さはコマーシャルなアイテムとチャレンジングなアイテムのスタイリングにおいても現れた。上述したモードなシャツ、特に、そこにサイケなフラワープリントを加えたアイテムは、チャレンジング。しかしそこに、メランジュのニットやソックス、2015年春夏にヒットしたムース素材のスニーカーの進化系シューズを合わせることで、スタイルのコマーシャル性を高めている。カラーも秋冬かと思うくらい落ち着いており、手持ちのアイテムとのスタイリングも容易だ。