中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)が中国の「独身の日(シングルデー)」に合わせて11月11日まで開催した大規模なセールは、最終的に取扱高4982億元(約7兆4730億円)を記録した。例年は11日のみの開催だが、12回目となった今回は1~11日と期間を大幅に延長したこともあり、19年の2684億元(約4兆260億円)の倍近くに迫る結果となった。
アリババが運営する中国大手EC「Tモール(T MALL)」によれば、今回は564のラグジュアリーブランドが参加しており、そのうち200以上のブランドは「Tモール」に出店しているオフィシャルストアが参加した。またコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)が擁する「カルティエ(CARTIER)」「モンブラン(MONTBLANC)」「クロエ(CHLOE)」、ケリング(KERING)が擁する「バレンシアガ(BALENCIAGA)」、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁する「ケンゾー(KENZO)」などを含む26のブランドが初めて参加した。
セール期間中の売り上げが1億元(約15億円)を超えたのは、「カルティエ」「コーチ(COACH)」「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」の3ブランドだった。バッグおよびアクセサリー部門では、「コーチ」「マイケル・コース」「MCM」などの手が届きやすいブランドがトップセラーとなり、それぞれセール開始後の一時間で19年の「独身の日」セールでの売り上げを上回った。なお「コーチ」は、アリババが運営する高級品に特化したEC「ラグジュアリー・パビリオン(LUXURY PAVILION)」のほか、同アウトレット専用プラットフォーム「ラグジュアリー ソーホー(LUXURY SOHO)」にも出店しており、今回のセールにはその両方が参加している。
「バーバリー(BURBERRY)」「クロエ」「バレンシアガ」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は、セール向けに限定品を販売した。また現地の報道によれば、「Tモール」にある「プラダ(PRADA)」のオフィシャルストア(公式だが直営ではない)では、時間限定で特定のアイテムの半額セールを行ったという。
ウィメンズおよびメンズウエアでは、「ユニクロ(UNIQLO)」が5年連続で売り上げトップとなった。人気商品はウルトラライトダウン、ヒートテックのアンダーウエア、フリースの上着、ジーンズなど。
ビューティでは、「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」が今回初めて「ロレアル(L'OREAL)」を抜いて首位となったほか、「Tモール」で10億元(約150億円)を売り上げた初のブランドとなった。2位は「ロレアル」で3位は「ランコム(LANCOME)」だが、企業としては「ランコム」などを擁するロレアル グループが引き続き首位だった。
アリババのバイス・プレジデント兼「Tモール」アパレルファッションビジネス部門のジェネラル・マネジャーを務めるウェイション・フー(Weixiong Hu)は、「デジタル化を推進しているラグジュアリーブランドにとって、『独身の日』セールは“練習の場”として最適だ。アリババの優れた技術力やプラットフォームを活用してブランド価値を高め、『Tモール』上でのオフィシャルストアをECにおける成長戦略の核として位置付けることができる」と語った。
アリババのライバルで、中国第2位のEC企業JDドットコム(JD.com)でも「独身の日」セールの取扱高は大幅に増加しており、初日の11月1日には前年の138%増となった。セール期間全体では、アパレルが同116%増、シューズが同132%増だった。