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「エディション」が開業 和洋の要素が融合した楽園のようなロビーは必見

 マリオット・インターナショナル(MARIOTT INTERNATIONAL以下、マリオット)のブティックホテル「エディション(EDITION)」が10月20日、東京・虎ノ門で開業した。「東京エディション虎ノ門」は、森トラストがオーナーでマリオットが運営を手がける。「エディション」のコンセプトやクリエイティブ・ディレクションは、米ニューヨークの伝説の「スタジオ54(STUDIO 54)」の仕掛け人であるイアン・シュレーガー(Ian Schrager)によるもので、日本初上陸。内装デザインはシュレーガーのスタジオと隈研吾建築都市設計事務所が手掛けた。神谷町の複合施設である東京ワールドゲート内の31〜36階に位置し、全206室。各客室からは東京のスカイラインが見渡せるようになっている。“東と西の交差点”と銘打つホテルの見所をリポートする。

 1階のエントランスは一見ホテルと分からないブティックホテルらしいデザイン。中に入ると黒い大理石がドラマチックな空間を演出しており、シュレーガーが手がけたニューヨークのホテルを彷彿とさせる。エレベーターホールの奥には美術家の森万里子によるオブジェが置かれている。エレベーターで31階に着くと、インテリアデザイナーの倉俣四郎による椅子がお出迎え。壁には、シュレーガー自身のコレクションである、渡辺克巳が捉えた1960~70年代の新宿歌舞伎町の写真が並んでいる。アートもこのホテルの見所の一つだ。

人々を温かく迎えるアーバンジャングル

 エレベーターホールからロビーエリアに入ると、そこはまるでジャングルのようだ。外光が降り注ぐアトリウムのロビーラウンジには25種類、500以上の植栽が置かれ、全てシュレーガー自身が選びディレクションしたという。右手にレセプション中央にバーカウンターがあり、その周囲には植栽やカーテンで区切られたラウンジスペースがいくつもある。クッションやブランケットが置かれたラウンジはリビングルームのような快適さと親密さを備えており、友人宅を訪れたような錯覚に陥る。

 この共用スペースのロビーラウンジは仏寺から着想を得ており、5.8mの天井は二重構造になっている。上を見上げると、なるほど、隈が手掛けた空間だと感じる。内覧会の前に開催されたオンライン会見でシュレーガーは、「公共エリアでは、社交はもちろん、ビジネス、読書など、あらゆるシチュエーションが想定される。寺院の境内は欧米の広場のようなもので人々が集う場所だった。私はロビーラウンジを世界中のあらゆる人々が集まり光を見られるような場所にしたかった」と述べている。東京タワーを一望できるロビーは開放感に溢れつつも、プライベート感もあり、遊び、仕事、社交、独りの時間と利用客の目的に合うようにデザインされている。「ロビーラウンジでは、エネルギーに溢れ、自然と交流が生まれるような想像を超える体験を提供したい。人間はソーシャルアニマル(社会的な動物)だから、人と関わらずにはいられないんだよ」とシュレーガー。ゲストが喜ぶのは、「生き生きとした場所。それが新しいギャザリンングの場だ」と言う。

客室はプライベートを重視

 社交、ビジネスなど公共な場であるロビーラウンジと客室エリアは一枚の扉で仕切られている。その扉が公共の場であるロビーの音をシャットアウト。扉の奥には客室と客室用エレベーターがある。客室は、木がふんだんに使用されており至ってシンプル。アイボリーやシルバーなどのニュートラルなカラーパレットが禅の雰囲気を醸し出している。全ての部屋から東京の景色が見渡せ明るく心地よい空間だ。家具は全てオーダーメード。「エディション」オリジナルのアメニティーやバスローブが用意されている。また、機能的にデザインされたワークスペースがある点も特徴だ。さまざまな目的で滞在する宿泊客全てが満足できるよう工夫されている。客室は42平方メートルからだが、その中でも、プライベートテラス付きスイートはオープンエアーで開放感満点。東京の風景を眺めながら、ゆったりと寛げるようになっている。

東京にいることを忘れるようなレストランやバー

 31階にある「ブルー ルーム(THE BLUE ROOM)」では朝食、ランチ、ディナーを提供。名前の通り、鮮やかなブルーの家具が基調の空間で、ロビー同様植栽が置かれている。

 10人まで着席可能なプライベートダイニングルームもある。世界中のクラシックをベースにした多彩なメニューを提供する。同じフロアにはイギリスのミシュランスターシェフであるトム・エイキンズ(Tom Aikens)が指揮を執る「ジェイド ルーム + ガーデン テラス(THE JADE ROOM + GARDEN TERRACE)」が21年にオープンする。広いテラス席はまるで空中庭園のようだ。レストランの食事のほか、カクテルなども楽しめるようになっている。

 ホテル1階には、来年オープンする「ゴールド バー アット エディション(GOLD BAR AT EDITION)」がある。ゴールドを基調にしたバーは開放的な他の空間とは一転し、1920年代のニューヨークのスピークイージーを想起させるデカダンでラグジュアリーな空間だ。バーとしてだけでなく、日中はラウンジとして営業し、ティーサービスや軽食メニューを提供する。

日本とのスピリチュアルなコネクション

 シュレーガーは会見を前に自ら詳細なプレスリリースを作成。オンライン会見では、日本が彼のキャリアに与えた影響について語った。「私は日本の美的センスやデザインに多大な影響を受けてきた。ピュアでシンプル、洗練された日本の美しさが大好きだ。日本とはスピリチュアルなコネクションを感じるんだ」とシュレーガー。彼は1970年代に「スタジオ54」で黒人モデルを起用して三宅一生のショーを開催したという。三宅の他、川久保玲にも多大な影響を受けたようだ。また、80年代にコラボした建築家の磯崎新とは友人で、長年日本に住んでいた建築家のジョン・ポーソン(John Pawson)とも親しい。ポーソンとは米ロサンゼルス・ウエストハリウッドの「エディション」で協業している。隈のことは、「いつも違う表情をみせる理想的なコラボレーター。優しい口調の素晴らしい人だ」とコメントしている。来年オープンする銀座の「エディション」に関しては、虎ノ門とは全く違う雰囲気になるようだ。シュレーガーは、「東京に住んでいる人々にも『エディション』を楽しんでほしい。コロナを乗り越えたら再度、盛大なオープニングにしたい」と語った。

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