REPORT
東洋と西洋が融合したシチリアの歴史を感じるエスニック
ヨーロッパからもアジアからも、アフリカからも近く、何度も外敵の侵攻にさらされ、だからこそあらゆる異国文化を飲み込んで独自の発展を遂げたイタリア南部の島、シチリア。「ドルチェ&ガッバーナ」の2016年春夏メンズは、今回もこの島の歴史の一場面にフォーカス。17世紀後半からヨーロッパ各地で流行し、その後シチリアにも伝わったシノワズリ(中国様式の美術様式)を取り入れた。
ハイウエストの位置でくびれたダブルのジャケットや、オーバーサイズのトップス、バンドカラーのブルゾン、パジャマのようなセットアップ、それにテーパードするパンツなど、いつも通りのシルエットにのせたのは、オリエンタルなムード漂うクジャクやドラゴン。しかし前述した通り、シチリアはあらゆる文化を消化し、独自の発展を遂げてきた場所。そこで育ったデザイナーは、その精神を受け継ぎ、アジアンモチーフをレモンやオレンジなど、シチリアらしいモチーフとドッキング。クジャクはレモンの木の上に留まり、そのほかの鳥もサボテンと戯れる。
中国風の宮殿パラッツオ チネーゼは、ビッグサイズのTシャツの上に大胆にプリントされ、ブランドらしいダメージデニムのスタイルの中に組み込まれる。1着の洋服で東洋と西洋を融合したり、一つのスタイルに東洋的アイテムと西洋的アイテムの双方を用いたり、さまざまな手法でさまざまなカルチャーと戯れた、シチリアのDNAを感じさせた。