中国で11月11日まで行われたセールイベント「独身の日(シングルデー、W11)」は今年も前年比超えの売り上げで幕を閉じた。最大手アリババ(ALIBABA)は取扱高4982億元(約7兆4730億円)を記録。同社は今年セールを前倒しし、1~11日と期間を大幅に延長した影響が大きく、昨年の2684億元(約4兆260億円)の倍近い額となった。また従来は長い予約期間を経て11日に決済を行っていたが、今年は新型コロナ禍においてブランドを支援するために、11日に加えて1〜3日にも決済期間を設けた。盛り上がりの山を2度作ったため、取扱高が急増した。また中国2位のECであるJD.com(京東集団)は前年比32.8%増の2715億元(約4兆725億円)を売り上げ、両社とも過去最高を記録。中国の星図データによると、EC全体の独身の日売り上げの59%をアリババのTモール、26%をJD.comが占めた。独身の日は一年で最大の商戦であり、今年の消費者動向や今後のEC・小売りの動向が読み取れるイベントにもなっている。今年の独身の日で注目すべき特徴を3つ紹介する。(この記事は「WWDジャパン」2020年11月30日号からの抜粋です)
新型コロナの影響で海外製品が人気
新型コロナ禍による渡航制限でトラベルリテールの売り上げは落ち込んだが、その分消費者の買い物欲はW11のセールで発揮された。Tモールグローバル(天猫国際)の董臻貞(ドン・ジェンジェン)副総経理兼海外直送事業・総経理は「当社の公式データによると、2020年4〜6月は海外の観光客の支出額が前年同期比61%減となったものの、越境ECプラットフォームにおける輸入商品は同29%増だった」と語る。Tモールは昨年立ち上げた輸入支援ソリューション、天猫海外フルフィルメント(TOF)を運営しており、6月の大型セール「618」でもTOFからの輸入品の総額は通常比で約3倍(199%)に増加。TOF参入ブランド数も3月末から8月末までで125%増加したという。
海外旅行が制限される中、海外ブランドは“体験”できるデジタルで興味関心をひいた。たとえば、「コーチ(COACH)」はTモールの旗艦店でニューヨーク5番街の店舗を再現したバーチャルストアをオープン。ユーザーはバーチャルストア内のコンテンツで条件をクリアすることで特典を得られたり、友人に拡散したりすることでポイントを獲得できた。実際の5番街で買い物できない不満を解消する没入感、さらに友人と共有する体験を提供し、大きな売り上げを達成した。
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