※この記事は2020年9月7日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
「先陣は『LV』」に期待しているワタシ
先週行われた「ルイ・ヴィトン」のファッションショー、こんな時のリアルショーについては賛否両論あるのかもしれませんが、「先陣を切るのは、やっぱり『ルイ・ヴィトン』なんだな」と思いました。
このメゾンについては同じこと、つまり「最初は、やっぱり『ルイ・ヴィトン』なんだ」と思う時が度々訪れ、正直、それを願っているフシさえあります。例えばヴァージル・アブローがアーティスティック・ディレクターに就任した時は、黒人で、建築出身で、ストリートな彼を、「ルイ・ヴィトン」という世界最大のメガ・ラグジュアリー・ブランドが選んだことに意義があると感じました。「いよいよファッション業界が人種や出自、経験にとらわれず、才能やビジョン、そして大義でジャッジする時代が到来する!!」と期待したのです。そのインパクトは、小さなブランドの似たような人事とはワケが違います。「ルイ・ヴィトン」の一挙手一投足はファッション業界を超え、ファッション代表として社会に認知され、ゆえに社会を変え得る力を持っていると考えています。だからこそ、「まずは『ルイ・ヴィトン』から」を期待してしまうのです。そしてヴァージルはデビュー以来、ダイバーシティー&インクルージョンというコアバリューを連打。これも、「ルイ・ヴィトン」が示すこと、「ルイ・ヴィトン」から示すことに意味があるのです。
その意味で今回のショーは、ファッションがくじけていないこと、新しい形のランウエイショーを模索していること、本国の首脳陣は来日できないからジャパン社のスタッフに相当の権限を委譲して実行を託したローカライズなどの意味において、業界を前進させ得る1つの契機になり得るのでは?と思っています。さまざまな意見が飛び交っていることは承知の上で、私は、ブランド単体はもちろん業界全体の前進の原動力になり得ている動きを応援したいと思っています。そして規模はず~っと小さいけれど、ヴァージル同様に1つの組織を率いる人間として、大いに刺激を受けるのです。
そう考えると、トップがこれだけ大胆かつ勇敢に、そしてSNSなどで意思を表明しながら道を開拓してくれる組織は強いですね。ヴァージル同様に意思表示に勇敢なのは、Twitterで存在感を増しているテック系企業のトップたちでしょうか?昔ながらの大企業は、そのあたりやっぱり難しいでしょうか?
「正直に語る」「ウソをつかない」「直接語りかける」は、サステナブルに繋がる透明性においても、D2C的マインドのコミュニケーションにおいても欠かせません。そろそろ決断の時が迫っているように思うのですが、いかがでしょうか?
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