アディダス(ADIDAS)は14日、かねてより話にあがっていた傘下ブランド「リーボック(REEBOK)」の売却を検討していると正式に認めた。売却先にはブランドマネジメント企業のオーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)が有力視されている。
アディダスは新たな5カ年計画の一環として、「『リーボック』の今後の戦略の見直しを開始した。売却と、われわれの一部であり続けることの両方が可能性として挙がっている。正式な決定は21年3月10日に発表する」と述べた。
ABGと契約し、“NBA史上最高のセンター”と呼ばれるシャックことシャキール・オニール(Shaquille O'Neal)は、一年以上前から「リーボック」の獲得への興味を示していた。2015年にABGと契約を結んで知的財産の所有及び管理をし、自身の名を冠した「シャック ブランド(SHAQ BRAND)」を国際的に拡大したオニールは、90年代にNBAで「リーボック」のアンバサダーを務めていた。
情報筋によると、「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)」「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」「フォーエバー21(FOREVER 21)」を持つABGは、「リーボック」の獲得に間違いなく関心があるという。ABGは他にも、「ボルコム(VOLCOM)」「スパイダー(SPYDER)」など50を超えるブランドや資産を管理している。
「リーボック」は06年にアディダスに31億ユーロ(約3193億円)で買収されて以来、業績は長らく低迷しており、新型コロナウイルスの影響で店舗の休業を余儀なくされたことから欧米を中心に売り上げが激減した。16年に導入した強化戦略が奏功し18年にようやく黒字化したが、20年の「リーボック」の1~6月期の売上高は前年同期比27.2%減の6億ユーロ(約756億円)となった。マット・オトゥール(Matt O'Toole)=リーボック社長は、現段階でのコメントを控えている。