国内の登山・アウトドア市場は2018年に5000億円を突破し、さらなる拡大が見込まれる(出典:矢野経済研究所『アウトドア市場に関する調査』2019)一方で、オーバーストアや供給過多なども懸念される。しかし各社は一過性のもので終わらせないために、流行の先を見据えてさまざまな事業を始めており、ここでは2つの事例を紹介する。これらの取り組みが今後連携していけば、いずれは大きなうねりとなってビジネスを生み出し、「人々の生活を豊かにしたい」という各社が共通して掲げるゴールにも近づくはずだ。(この記事はWWDジャパン2020年11月30日号からの抜粋です)
1つ目の事例は、アウトドアのギアやアパレルの小売りを軸に、さまざまな事業に発展させている代表的なメーカーの一つがスノーピークだ。主力であるキャンプギアのほかに、「衣食住働遊」を掲げて5つの事業を強化し、アウトドアの日常化を目指している。3月に現職に就いた山井梨沙社長が描くスノーピークの今後について聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):昨今のアウトドアブームによる影響は?
山井梨沙スノーピーク代表取締役社長(以下、山井):会社として波が来ているなと感じたのは2014年ごろ。世間のアウトドア熱の高まりやテレビ出演効果などもあり、売上高は前年比で約100%増と急伸した。以降も20〜30%増で推移しており、創業以来続けてきた「自然思考のライフスタイルを取り入れて人間性を取り戻す」という取り組みが浸透してきたのかなと感じている。
WWD:新型コロナウイルスの反動は?
山井:4~5月は店舗の営業を停止したものの、ズームでの接客やインスタライブ、動画などでECの基盤を整えて売り上げを確保できた。店舗営業が再開してからは新規客が予想以上に急増し、会員数が毎月1万〜2万のペースで増えている。商品も完売が相次ぎ、10月は前年比80%増とコロナの影響で下方修正していた当初の予算に限りなく近い数字で進捗している。ここまでの反動は予想外だった。
WWD:新規客の特徴は?
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