ユナイテッドアローズ(UA)と栃木の酒蔵「仙禽」がコラボレーションした日本酒「仙禽 × UNITED ARROWS」に注目だ。仙禽は、江戸時代後期・文化3年(1806年)創業の、栃木県さくら市にある蔵元で、11代目蔵元の薄井一樹氏は、元ソムリエというユニークな経歴を持ち、日本酒のドメーヌ化や、いにしえの技法により実現した完全無添加の「ナチュール・シリーズ」など、新しい日本酒のスタイルを発信し国内外で高い評価を受ける。そんな酒蔵とのコラボ日本酒を10月に青山ウィメンズストア1階の「UA BAR AOYAMA」と、原宿本店1階「UA BAR」で販売し完売。12月24日には新作“にごり酒” (グラス900円、ボトル2500円、税込※ボトルは「UA BAR AOYAMA」のみ)を発売する。ファッションのセレクトショップを軸とするUAが、なぜ日本酒を作ったのかーー。
WWD:「仙禽」に出合ったきっかけは?
鈴木貴至・第一事業本部運営支援部開発推進課所属(以下、鈴木):数年前に「仙禽」の日本酒を飲み、あまりのおいしさに衝撃を受け、私がファンになったのがきっかけです。1年前にオープンした「UA BAR AOYAMA」でも「仙禽」を提供し好評でした。それでオリジナルでも作ってみたいと思ったんです。
WWD:1年に渡って3度、酒蔵を訪ねたとのことですが。
鈴木:「仙禽」のおいしさに衝撃を受けた後、当社からお願いして仙禽さんとつながることができました。伝統的な技術をベースにしながらも、200年という歴史に安住せず、革新的な酒造りに挑戦し続ける姿勢にまたも感銘を受けました。
WWD:200年も続く酒蔵と聞くと、昔ながらの“がんこ者”で話を聞いてもらえないのではないか、というイメージもあります……
鈴木:いえ、最初から歓迎していただきました。仙禽の薄井さんは非常に柔軟な考えをお持ちで面白がってくださいました。酒蔵へは、1年の間に3度訪問し、うち一回は酒造りに参加させていただきました。(コロナ外出自粛中はもちろん行っておりません)。薄井さんとは同世代ということもあり、東京でもお会いするなど親交を深めています。
WWD:酒造りに参加してどうでしたか?
鈴木:一番は酒蔵の皆さんが自分たちの酒に誇りを持っていて、楽しそうに酒造りをされているのが印象的でした。特別に麴カビを蒸米に振る作業も体験させていただきましたが、緊張感もあり気持ちが凛として清々しかったです。
WWD:コラボ日本酒「仙禽 × UNITED ARROWS」の最大のこだわりは?
鈴木:だんだん寒くなってくる季節に飲んで美味しい、ということを心掛けました。また、アッサンブラージュに使用した仙禽の日本酒それぞれの良さが表現できるように注意を払いました。
WWD:味について教えてください。
鈴木:酒蔵の皆さんからは、大変ありがたいことに傑作とおっしゃっていただきました(笑)。甘味と酸味が絶妙なバランスで調和していると思います。温度を変えて飲んでも表情が変わってくるので面白いです。
WWD:酒造りから学んだことは?本業のファッションに影響がありますか?
鈴木:歴史・伝統をベースした本物だからこそ、革新的なことができるのだと学びました。それはファッションも同様だと思います。
WWD:UAがカフェやバーを経営していることは知っていますがなぜ今、日本酒、しかもコラボだったのですか?
鈴木:私自身、日本酒が大好きで昔からさまざまな日本酒を飲んできましたが、若い人を中心に飲まず嫌いな人が多いなと感じていました。単純にこのワクワクする世界をもっと紹介したいというのが動機です。そういったこともあり、「UA BAR AOYAMA」では日本酒をラインアップに入れています。ファッション同様に日本酒含めお酒などは、コロナ禍にあって不要不急のものであるかもしれません。しかし、し好品こそが生活に彩りを添え、困難を乗り越える活力になると信じています。
WWD:今後は何を作る?
鈴木:これまでもクラフトビールで4度コラボレーションをリリースしたことがあり、UAの運営する飲食店がある以上は、ファッション同様にワクワクすることを提案していきたいです。