MOVIE
「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は2016年春夏パリ・メンズ・コレクションの模様を生中継する。発表日時は6月25日の午前0時30分から(日本時間)。
REPORT
軽やかに、そして自分らしく巡る世界旅行
「ヴァレンティノ」の2016年春夏メンズは、世界旅行のイメージ。ハイビスカスやパイナップルに彩られたトロピカルに始まり、ミリタリーカラーに彩られたサファリスタイル、袖口などにあしらったエスニックな刺しゅうが醸し出すアステカやマヤなどの南米のムード、そして、カットオフしたレザーでカラフルな花模様を描いたウエスタン。春夏らしく、温暖もしくは灼熱の国を旅し、そこでさまざまな刺激を受ける男性像を描いた。
とはいえ、「ヴァレンティノ」の旅人は、軽やかで、常に自分らしい。旅先で目にするさまざまなスタイルやモチーフを取り入れながらも、取り入れ方は控え目で、自分らしさを忘れない。例えば序盤のトロピカルは、上半身だけで楽しんでいる。ボトムスは、グログランのリボンをサイドにあしらった、スリムテーパードのパンツだ。また、カラーパレットも極彩色ではなく、トレンドに呼応したアースカラーにまとめた。こうすることで、どちらかと言えば観光客ではなく、現地人、もしくは現地のカルチャーを深く知るスマートな男性像にたどり着いている。トロピカルフラワーで作るハズのレイの首飾りも漆黒のレザー製、そして、巾着タイプのバックパックも半分だけがトロピカル。「ヴァレンティノ」らしい、洗練のセンスは、アクセサリーにまで脈々と流れている。アクセサリーは、総じて小ぶりで、マチがほとんどないボディバッグが何度も登場する。荷物を最小限に旅する男性は、いつでも軽やかでスマートだ。
また、圧倒的なクラフツマンシップも、異国文化をスマートに見せるのに役立っている。カットアウトしたレザーを貼り付けたブルゾンやスイングトップ、圧倒的な刺しゅうを施したスカジャンなどは言うまでもないが、デニムの加工も引き続きハイテク。ヒートボンディング加工を採用したデニムはカモフラ柄などを描くが、縫い目などは最小限でスマート。ウオッシュもアメリカンではあるが、程よく控え目で上品だ。
発表以来使い捨てることなく、毎シーズン少しずつ変化させて用い続けるカモフラや動物のモチーフも、「ヴァレンティノ」らしい異国文化の醸成に役立っている。何度も見てきたモチーフは、すでに「ヴァレンティノ」のアイデンティティーを備えつつ、なおかつ、やはりエキゾチックなムードを醸し出しているからだ。新登場のアクセサリーは、エスパドリーユのようにサイドにジュートをあしらったスニーカーと、定番となったスタッズだけでなくターコイズまで打ち込んでエキゾチックなムードを高めたバックパックなど。スタッズとターコイズを交互に打ち込むあたりにも、「ヴァレンティノ」らしく異国情緒を表現しようという意思が伺える。