ジェンダーを考えた年末年始
皆さま、新年あけましておめでとうございます。今年も、引き続きフランクな口調で、あまり忖度せずw、思うことだけを発信するお手紙(それが、他との差別化の手段だと思っています)をどうぞよろしくお願いします。
年末年始は、改めてジェンダーについて考えました。きっかけは、書籍「存在しない女たち:男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く」(河出書房新社刊、キャロライン・クリアド・ペレス著、神崎朗子訳)を読んで、10ページに1回くらいの割合で「そうなの!?ごめん!!」と男性として女性に、いろんなことに対して申し訳なく思ったことでした。片手で扱うにはちょっと大きなスマホを含むあらゆる道具、制度、そして社会が男性優位どころか男性目線でしか設計されていない、女性は存在していないという前提で設計されているという内容です。
そんな中で紅白歌合戦を見ると、「まだ紅組と白組に分かれて合戦するというフォーマットは必要なのかな?」なんて思います。昨年は最初から最後まで楽しく紅白を見続けましたが、最後だけ腑に落ちなかったのです。最初は白、次いで赤、最後はゴールドに変身した氷川きよしの衣装からはフォーマットに対する意志を感じましたし、福山雅治はインスタグラムで「家族になろうよ」について「多様な家族の在り方がある2020年の大晦日に、どんな風にこの楽曲を響かせることができるのか」と綴ります。瑛人にいたっては「ところで俺、紅、白、どっちの組ですか?」なんて話をしていたというエピソードが浮上。このジェネレーションにとって、紅とか白なんて、本当にどうでも良いんだなと思わせるエピソードでした。
SNSではファミリーマートの「お母さん食堂」が軽く炎上。お正月休みの終盤には箱根駅伝で大逆転を遂げた駒澤大学監督の「男だろ!」が、ある人には感動のエピソードに、別のある人には違和感たっぷりの話に聞こえ、賛否両論が巻き起こったのは記憶に新しいところです。
「生きにくい世の中」とか「めんどくさい時代」と思われるでしょうか?確かに、軽率には言動できない時代になりつつあると思います。でも個人的には、それが「生きにくい」とか「めんどくさい」とは思いません。冒頭で紹介した書籍は、今なお世界のあらゆる国で、女性は男性に比べて家事や育児などの無給労働に多くの時間を費やしていると主張します。この無給労働をシェアし、女性を有給労働の市場に送り出したり、迎え入れることができたら、ことファッションやビューティ産業は、もっともっと隆盛するでしょう。
まず今年は、いろんな言葉を再定義することから始めてみようと思います。すでに「マスキュリン」や「フェミニン」「男性的」「女性的」ひいては「ボーイフレンド・デニム」や「メンズ・ビューティ」までもが私の中では違和感のある言葉になりつつありますから、それに代わるワードを探し、使ってみようかと思うのです。
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