専門店チェーン、セレクトショップの2020年12月度売上高(既存店ベース)は、月後半の気温低下を受けて前年実績を超えたという企業が多かった。ただし、19年12月は暖冬によって苦戦したという声が強かったため、その反動もある。コロナ禍でも一定の売り上げを築ける企業の顔ぶれが定着した一方で、復調の兆しが見えない企業も固定されている。
「ファッションセンターしまむら」のECを含む既存店売上高(11月21日~12月20日)は、前年同期比11.3%増。19年12月が同9.0%減だったという面はあるものの、これで4カ月連続の2ケタ増となった。「急激な冷え込みとなった後半にプルオーバーやボトムス、発熱素材の肌着などが売れた」。
「無印良品」を運営する良品計画の直営既存店とECの合計売上高(12月1~31日)は前年同月比9.4%増。19年12月も同9.8%増と好調で、そこからさらに伸ばした。引き続き人気の食品をフックに客数が同13.2%増と伸び、全体を底上げ。靴下やパジャマ、防寒アウターなどが売れ、衣服・雑貨の売り上げも同1.4%増となった。12月3日にオープンした「無印良品 東京有明」も「計画を超える売り上げ」で推移しているという。
ユニクロの実店舗とECの合計売上高(同)は同6.2%増。19年12月は暖冬で同5.3%減だったため、一昨年並みに戻したことになる。客数も同0.3%増とコロナ第三波の中ではまずまずの数字。「年末感謝祭を前年より2日間長く実施するなどにより、密を避けつつ集客ができた。売れ筋は“ヒートテック毛布”やラウンジウエア、室内での防寒を意識していると思われる“ヒートテック”のボトムスなど」といい、“巣ごもり”のホリデーシーズンニーズをつかんだ。
ワークマンの既存店売上高(同)は同6.1%増。「防寒アウターや発熱素材のボトムスやインナー、タイツが好調だった。また、降雪があった日本海側地域では、防寒長靴やブーツ、手袋なども売れた」。
ユナイテッドアローズの実店舗とECの合計売上高(同)は、ビジネスニーズの落ち込みを受けて引き続き同21.7%減と苦戦。他社が軒並み好調なEC売り上げも同0.2%減と落としているが、これは「20年春夏で『エメル リファインズ(EMMEL REFINES)』事業を終了したこと」「ECでもビジネスニーズの商品の売れ行きが鈍いこと」「19年は暖冬による在庫整理にために早期から行っていたVIP顧客向けセールを20年は後ろ倒ししたこと」などが影響したと見ている。
首都圏では再度の緊急事態宣言の発令が見込まれている。19年の4~5月ほどではないものの、消費ムードの落ち込みは今後避けられなさそうだ。「デベロッパー側が時短営業に踏み切るなら従うが、感染予防を徹底しつつ可能な限り通常営業を続ける」「(今回の宣言は飲食業が中心対象になるのだとしても)客足の減少は避けられない」(ユニクロ、良品計画など)といった声が出ている。