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スパイバーが250億円を調達、世界的にも稀な「事業価値証券化」で

 スパイバーはこのほど、250億円の資金調達を行った。「事業価値証券化」という珍しい資金調達手法で、金融関係者も「世界的に見ても成功事例は少なく珍しい」という。スパイバーが独自に開発を進めている人工タンパク質素材「ブリュードプロテイン(BREWED PROTEIN)」は、まだ量産前で無形資産に近い。250億円という巨額の資金は、「人工タンパク質素材」の高いポテンシャルを投資家が認めた形で、スタートアップ企業の新しい資金調達の手法としても注目を集めそうだ。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券がアレンジャー(取りまとめ役)となり、国内の投資家が参画した。調達した資金は、米国の穀物メジャーであるアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland以下、ADM)と共同で進めている人工タンパク質素材の原料プラントに投じる。

 米国のADMは売上高640億ドル(約6兆6560億円)の穀物メジャー2強の一つで、スパイバーにはこれまでに102億円を出資している。スパイバーと共同で、とうもろこしを主原料とした、年産数千トン規模の人工タンパク質素材の原料プラントの開発と建設を進めている。本格稼働は2023年以降の見通し。

 スパイバーの人工タンパク質素材「ブリュードプロテイン」は、石油を使わずにクモの糸の遺伝子などをベースに強靭な合成繊維やプラスチックを製造でき、かつ省エネルギーで製造できる特徴がある。2019年には少量ながら、ゴールドウインと共同開発した高性能アウター「ムーンパーカ」の販売にもこぎつけていた。

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