※この記事は2020年11月6日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
ティファニー買収でLVMHはどうなる?
世紀の泥沼訴訟合戦に突入か(ちょっとワクワク)!?と思いましたが、意外とあっけなく決着しましたね、LVMHのティファニー買収。新型コロナの影響で、アメリカンラグジュアリー企業ティファニーがアメリカ企業としての道を歩み続けることになるというのも“運命のいたずら”という感じで良いよね、とも思っていたのですが――改めて“婚約”成立です。
LVMHはうまいですよね。突如フランス政府を巻き込んでの「買収断念」宣言で揺さぶりをかけ、結果ティファニーを約500億円安くゲットしました。1番目の記事に出てくるアナリストも語っていますが、新型コロナによってティファニーの価値が下がったかというと、業績は下がりましたが、ブランドの価値までは毀損されていないと思います。ティファニーも必死に業績を回復させました。ですから、新型コロナの影響をうまく利用して得をしたのはLVMHだったというのが私の見方です。
そしてもちろんティファニーのマネジメントは交代でしょう。だって、「買収断念」の理由の1つがコロナ禍におけるミスマネジメントでしたから。
トップの候補者として挙がっているマイケル・バーク=ルイ・ヴィトン会長兼最高経営責任者(CEO)は、まさにベルナール・アルノーLVMH会長兼CEOの懐刀です。ブルガリを買収した際もトップに就きましたし、今は亡きイヴ・カルセル元会長兼CEO退任後、あまりのプレッシャーに後任CEOが体調不良に陥ったルイ・ヴィトンのトップを引き受けたのもバーク氏でした。10年前からすでに大きかったルイ・ヴィトンをアップデートしながらさらに成長させています。ティファニーのトップに就任したら、インクルージョン&ダイバーシティーやトレーサビリティといったブランドの強みを生かしつつ、さらに発展させていきそうだなと思います。
でも、もしそうなった時、グループの屋台骨ブランド、ルイ・ヴィトンを誰が引き継ぐのでしょう。アルノー会長兼CEOの下、1兆円ブランドのマネジメントって並大抵ではないですね。ティファニー買収で起こるであろうLVMHのマネジメントシャッフルにも注目したいです。
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