サステナビリティ

理想ではなく現実から語りたいサステナブル エディターズレター(2020年10月29日配信分)

※この記事は2020年10月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

理想ではなく現実から語りたいサステナブル

 多くの企業が取り組むサステナブルについて、常々「モヤッ」とした気持ちを抱えてきました。「大事なのは分かっているけれど、“自分ごと”化しきれていない印象がある」のです。「頭では理解しているけれど、心では共感しきれていない」とも言えましょうか。こと自社媒体を含むさまざまなメディアや、カンファレンスから発信されるメッセージにそんな印象を抱いており、少なくとも自社媒体については「改善したい」と強く思ってきましたが、問題の本質はなんなのか考えあぐねていたので糸口を見つけきれず現在に至りました。

 それが先日、「解決できるかも!」という気分になりました。今日は、そんなお話です。

 きっかけは今月、伊藤忠ファッションシステムのサステナセミナーに登壇させていただいたことでした。上述の通り、私はサステナについてエラそうに語れる身分ではありません(苦笑)。ゆえにメーントピックスは、日々の取材で感じてきた「企業の迷い」や「陥りがちなトラップ」に設定。最後にちょっとだけ「アナタの会社も既にちょびっとサステナブルかもしれないよ!」という小さな気づきを提供して締めくくりました。例えば「企業の迷い」では、「サステナはCSRなのか?」に言及。私は、「CSRと捉えると義務感に駆られ、自分に直結するメリットを見出しづらいから、誰も“自分ごと化”できません!」と訴えさせていただきました。続く「陥りがちなトラップ」では「そうすると、サステナ担当だけが孤立という悲しい結果に」と、これまで見聞きしたり、体感したりの事例をお話。最後の「気づき」では、例えば田舎にある工場の風景を守ろうという地域密着の活動をずっと続けていたら、「もう立派にサステナブル!それを広げていきましょう」とエールを贈った次第です。

 そして最近、ウェビナーのご担当者から数件の反響をいただきました。そこには、「理想と現実に悩む企業サイドの心理をきちんととらえ、それに対してお話いただけたので、共感しやすい内容でした」とのお言葉がありました。「ありがたい!」と思うと同時に、「そうか、理想と現実か!!」と改めて気づかされたのです。

 そう、昨今のサステナの多くは、「理想」を語るばかりで、そこからあまりに遠い「現実」に悩む皆さんにはツラく聞こえるのです。メディアの記事も然り、登壇者の言葉も然り。いずれも理想、もしくは一早く理想を知った人の世界、そんな人から見た現実への警鐘なのです。現実、理想がまだ見つからない人の世界、そんな人から見た現実に対する漠然とした不安に言及している記事や登壇者は少ない気がします。結果、自分自身と同じような悩みを持つ人の存在を認知しきれていないから、「モヤッ」としているのでは?と思うのです。

 そこで「WWDJAPAN.com」は、漠然とした理想と、それには遠く及ばない現実に悩む人さえ巻き込んだサステナコンテンツ作りに挑戦します。現在デジタルデスクと、社内のみならず外部の方、サステナに対する知識や境遇、悩みはバラバラな人たちを複数巻き込み、「一緒に悩もう、共に考えよう」というスタンスのコンテンツを作ろうと計画しています。そこで、私のお手紙で恒例行事となりつつある(笑)、この場をお借りしての大募集です。さぁ皆さん、サステナに対する知識は、現状ゼロでも構いません。私たちと一緒に、コンテンツを作ってみませんか?自分の素直な気持ち、悩み、漠然としか捉えていない理想と、そのギャップを語れる方、大募集中でございます。

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