1月7日には2度目の緊急事態宣言が発令され、ただでさえ例年より薄かった正月気分が吹き飛んだ。とはいえ本号は2021年の最初の号。改めてご挨拶を申し上げたい。「WWDジャパン」は今年もファッションとビューティのビジネスメディアとして読者に有益な情報を提供し、皆様が集い知恵を共有するサロンのような場を創出して業界発展に貢献します。(この記事はWWDジャパン2021年1月4・11日合併号からの抜粋です)
これほど不確実な時代に新しい年を占うのは難しいが、年末年始に取材している業界各社のCEOたちの話からは一つのキーワードが浮かび上がってきた。それは「個の時代」だ。自社のオリジンや本質の再確認、一層のデジタル化、欠かせないサステナビリティへの取り組み、働き方の改革などを通じて量より質、拡大より存続へのシフトが進んでいる。そしてその要所要所で「個」というキーワードが聞こえてくる。
「個の時代」は、例えば“人生100年時代、組織に属さない新しい働き方”といった意味合いで使われて久しいが、ことファッションやビューティのビジネスにおいて本領を発揮するのはこれからだ。淘汰が進みステイホームで一億総デジタルシフトが進んだ今、大切になるのは「個人から個人に直接アプローチする」もしくは「個人が作り手へダイレクトに要望を伝える」など、各所での「個」に起点を置いたモノづくりや販売ではないか。「個」を重んじるビジネスとは平たく言えば「みんな違ってみんないい」を本気で体現することだ。「みんな違ってみんないい」は、ファッションやビューティの本来の魅力だが、振り返れば長い間、ビジネス優先、拡大優先、作り手・売り手の都合の中で置き去りにしてきた価値でもある。冷え込む市場からこの先立ち上がる企業や個人はきっと、この「みんな違ってみんないい」を自社なりに本気で追求し、人や社会をエンパワーメントするところなのだと思う。
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