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英激安店「プライマーク」、20年9~12月は30%減収 それでも「ECはしない」

 英激安店「プライマーク(PRIMARK)」を擁するアソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ(ASSOCIATED BRITISH FOODS 以下、ABF)は、2020年9~12月の売上高が前年同期比で12.7%減の48億200万ポンド(約6770億円)だったと発表した。

 同社は小売事業の「プライマーク」が売り上げの半分程度を占めており、残りが食料雑貨、砂糖、農作物などの食品事業となっている。英国では新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、ちょうどホリデー商戦に差し掛かる11月5日から12月2日まで2度目のロックダウンが実施され、生活必需品を取り扱う店以外は再び休業せざるを得ない状況となった。欧州でもさまざまな制限措置が取られていたため、「プライマーク」の売上高は同30.0%減の20億3100万ポンド(約2863億円)だった。同店はECを展開していないことが響き、休業などによる売り上げの機会損失は4カ月間で5億4000万ポンド(約761億円)に上るという。

 英国は21年1月5日から3度目のロックダウンに入っており、1月14日の時点で英国と欧州にある389店のうち305店が休業しているが、これは売り場面積の約76%に相当する。このまま2月末までロックダウンが継続した場合、機会損失はおよそ10億5000万ポンド(約1480億円)まで膨らむ可能性があるとしている。一方、食品事業はコロナ禍においても好調で、売上高は同6.5%増の27億7100万ポンド(約3907億円)だった。

 厳しい経済環境の中でECに活路を見出す小売店も多いが、「プライマーク」は今後も実店舗を中心とし、ECを展開する予定はないという。店舗の合理化を進めると同時に出店を続けるとしており、21年は英国、米国、イタリア、フランス、ポーランド、チェコなどに15の新規店をオープンする予定だ。

 ABFは、「英国や欧州では、店舗の一時的な休業によって間接費を節約できた面もある。また米国では既存店ベースでほぼ前年並みの売り上げとなるなど好調だった。これらの要因により、『プライマーク』上半期の調整後営業利益は前年の4億4100万ポンド(約621億円)と同程度になる見込みだ」とコメントした。

 カナダロイヤル銀行(ROYAL BANK OF CANADA)のリポートによれば、「プライマーク」はワンピースを6~15ポンド(約840~2100円)、アウターを10~35ポンド(約1400~4900円)で提供しており、競合の「ザラ(ZARA)」や「H&M」と比べてもかなり低い価格帯であるため、英国や欧州でのロックダウンが解除されれば急速に業績が回復することが予想されるという。同行は、「『プライマーク』はECを展開していないものの、その圧倒的な価格競争力を武器に、ECに強い小売店とも十分に闘える。米国市場でもさらに成長できると思うが、これらはあくまでも中長期的な話であり、ロックダウンが続いている間は苦戦を強いられるだろう」と分析している。

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