和歌山を拠点にニットを生産するテキスタイルメーカーのエイガールズ(A-GIRL’S)はシームレスインナーウエアブランド「マル(MALU)」を始動し、1月30日から自社ECサイトGRISALで販売する。コンセプトは「最上級の原料だけを使い、丁寧に時間をかけて編み上げる継ぎ目のないシームレスなインナーニット」。第一弾はカシミア100%のインナーニット6型をそろえ、価格帯は1万1000~1万8000円。今後シルクやコットン(海島綿)で展開していく。
「マル」はブランド名の由来にもなっている、小寸のビンテージ丸胴機械を用い、原料そのままの良さを生かす編技法で、糸への負荷をできる限り抑え、手編みのような膨らみと柔らかさを実現。また、1本の糸から編み上げるため、製品工程での生地のロスが少ない。カシミアは、ラグジュアリーブランド御用達の名門カリアッジ社(Cariaggi Lanificio spa)から調達。内モンゴルのアラシャン地方に生息するカシミア山羊の原毛を用い、「マル」のために紡績段階から開発している。カリアッジ社は、創業当初から原料から糸ができるまで全てトレースできるモノ作りを推進。環境に配慮したモノ作りでも知られるメーカーだ。デザインはあらゆる洋服の邪魔にならない気の利いたカッティングがポイント。
エイガールズは「ザ・ロウ(THE ROW)」や「ジェームス パース(JAMES PERSE)」などのOEM(相手先のブランドの生産)も手掛ける。実は、長年「マル」の手法で国内外のブランドのOEMを行ってきたが、今回のようなカシミアやシルクなどを用いると高額になり製品化が難しかったという背景がある。山下装子・取締役副社長は「私たちが本当にいいと思う商品が世の中に出ていかないことがとても悲しかった。『マル』を通じて、“世の中になかった”商品を提案していきたい」という。