2月1日に軍事クーデターが起きたミャンマーだが、繊維・アパレル関連の生産に大きな混乱はなさそうだ。最大都市のヤンゴンで2工場を運営するハニーズは、「1日、2日も通常通り稼働している。首都(ネピドー)やヤンゴンの中心部はともかく、当社の工場がある郊外の工業団地付近はふだん通り。(日本の)テレビや新聞の報道のような緊迫感は、少なくとも我々の工場周辺にはなかったようだ。1日は通信が繋がりにくかったが、LINEで安否は確認でき、夕方には通信は復旧した」(広報)という。縫製大手のマツオカコーポレーションもミャンマーで2工場を運営しているが、「現時点では業務に支障はない」(広報)という。日本繊維輸入組合によると、2019年のミャンマーから日本への繊維製品の輸入額は1132億円で5番目に多く、もし混乱が発生すると日本のアパレル供給にも影響が出る可能性がある。
ハニーズは12年に工場を開設。当時も軍政だったが、これまでも政情による影響はあまりなかったという。現在、日本からの駐在員5人と現地スタッフ4000人弱が働く。マツオカコーポレーションは2004年に現地企業の株式を取得(現在は完全子会社化)し、ミャンマー生産を開始。2020年3月期には39億円の売り上げを持ち、約2400人が働く。
ミャンマー生産を行っている繊維商社も、「現時点では大きな混乱はない」という声で一致する。13年からヤンゴンに駐在員事務所を構える帝人フロンティアは「日本大使館より外出自粛の要請があったことから、2名の社員は自宅待機とし、現在リモートワーク中だ。インターネットは通じているが、電話の通信は不安定。ヤンゴンの街に目立った混乱は見られない。今後も日本大使館の指示に従いながら事業活動を行う予定だ。協力工場の状況は確認中」としている。三井物産子会社でアパレルのOEMを手がける三井物産アイ・ファッションも「主にスポーツ関連やデニムアイテムを生産している。昨年末に生産のピークは越えており、相手企業との連絡も取れているので、現在のところ影響は出ていない。ミャンマーとの取引量は多くないものの、今後製品が予定通りに出荷されのかなどの先行きは不透明だ」と話した。